中南米の最新情報

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奴隷労働禁止の憲法改正批判

 30日付現地メディアによると、ボルソナル大統領は、奴隷的な労働を強要する雇用主の財産を没収しかねない憲法改正を、批判しました。大統領は、「誰も奴隷労働には賛成していない。しかし、法律に違反していない経営者が労働者に薄いマットレス、換気の悪い囲い、破れた寝具などを提供すると農場を失う可能性のある改正は問題だ」と批判しました。

 この大統領の言葉に高等労働裁判所のアイビス・ガンドラ大臣が、「奴隷制に似た仕事は、奴隷と同じであることを理解している同僚がいることをお忘れなく」と述べました。

 2003年12月制定の法律では、強制的に労働または時間の浪費を強要し、労働者を奴隷のような状態におくことを禁じています。1888年5月、奴隷制度が正式に廃止されたため、「奴隷のような労働」という表現は、悪条件の中で働く場合に表現、使用されています。

 大統領は「雇用主は従業員を奴隷化したいとは思っていない。いたとしても少数だ。この問題は、多くの生産者に恐怖をもたらしている」とも語っています.

大統領夫人は閣僚をしのぐ働き

 29日付現地メディアは、ミシェレ大統領夫人は閣僚よりもボルソナロ大統領への影響力を持っている、と報じています。ボルソナロ大統領が就任してから半年程になりますが、ミシェレ夫人は大半の閣僚よりも数多く、自分の意見を政策に反映させました。

 ミシェレ夫人は愛国ボランティア計画に関する審議会の議長として、市民省や女性家庭人権省のビルで執務しています。政府の最重要課題である社会保障制度改革においてもミシェレ夫人の意見が採用され、重度の障害のために働けない人たちへの年金は全額支給との文言が盛り込まれました。

 ボルソナロ大統領は、前妻との間に出来た三男エドゥアルド氏を駐米大使に起用すると発言して非難を浴びると、「息子優遇の何が悪い」と言ってのけました。今回の妻の要請や提案にも、「ファースト・レディの頼みは断れないし、遅らせることも出来ない」と開き直りとも取れる言葉を発しています。大統領夫人の国政介入には問題がある、という認識は念頭にないようです。

 サンパウロ在住の知人によると、こうした大統領の身贔屓の姿勢に、市民たちも呆れているそうです。

国家中枢がハッカーの標的

 26日付地元メディアによると、23日に連邦警察に逮捕されたハッカー4人の供述から、法相以外にも大統領、両院議長、連邦検察庁長官、最高裁判事スマホがターゲットにされていたことが判りました。国家中枢が軒並み標的にされていたことになります。

 またハッカーたちは、「ボウソナロ大統領がテレグラムを使って行った通信のハッキングに成功した」と供述していますが、ハッカーの一人、デルガッティの弁護士は、「特定の政党と提携しているわけではなく、政治的な意図はない」と述べています。さらに、「アプリケーションのセキュリティを強化すべきだ」とも指摘しました。

 選挙裁判所によると、デルガッティはサンパウロ州アララクアラ市の「共に民主党」(DEM)に所属しているとしてます。同党は彼が逮捕されてから「彼を追放する」と表明していますが、21日までデルガッティの名前は DEMのメンバーリストに残っていました。

退職金の前受け取り可能に

 地元メディアによると、連邦政府は24日、勤続期間保障基金(FGTS)を2019年9月から2020年3月までの間に、最大500ドルの引き出しを認めると発表しました。この措置で、国内総生産GDP)は今年、0.81%の成長が見込めるとしています。

 勤続期間保障基金は企業側が労働者の給与に応じて積み立てる基金で、本来なら退職後に引き出しが認められるものですが、退職前の引き出しを可能にすることで、国民の消費を活性化させ、国内総生産(GDP)成長率を上げることが狙いです。

 ボルソナロ大統領は措置の有効性について質問され、「積立金の開放は労働者には借金に代わるものになる。これは例外の処置で、別の方法も模索中だ」と答え、さらに労働者の80%が基金に持っているのは500ドル以下とし、引き出しが500ドルを超えると経済に影響が出てくる、としています。

良いことはしていないが39%

 地元メディアの報道によると、ボウソナロ大統領(社会自由党)は就任後半に「何もしてない」と答えた人が39%でした。今月4、5日に全国130市で16歳以上の2086人を対象に行ったダッタ・フォーリャの調査です。

 調査は、ボウソナロ大統領が就任後の半年間で行った良い事(半年間で良くなった事)と、その逆を問うもので、自由に回答できる設問になっていました。

要人携帯に侵入のハッカー逮捕

 地元メディアによると、連邦警察は23日、セルジオ・モロ法務大臣の携帯電話や他の要人の携帯に侵入した疑いで、サンパウロ市、リベイロンプレット市、アララクアラ市で関係箇所を捜索、関係書類を押収、容疑者を逮捕しました。逮捕されたのはハッカーと思われる4人で、携帯からデータを盗んだと見られています。

 連邦警察は、法務大臣の携帯電話からメッセージが漏洩した疑いがあり、これまで4件について調査を続けて来ました。警察は、組織的なグループによるデータ剽窃事件と見て捜査していました。グループは違法に大臣の個人的な会話などを盗み出しており、警察は証拠固めを行っています。

 モロ大臣の携帯にハッカーが侵入した疑いは、22日に確認されていました。大臣は「携帯電話に午後10時以降に侵入し、データが盗まれたようだ」としています。

盗まれた携帯電話40台以上回収

 地元メディアによると、首都特別盗難警察は22日、アラゴアス州州都のマセイオ市で4月に盗まれた携帯電話を追跡、8,000ドル以上の高級品を含む40台以上を回収し、既に所有者に返却されました。

 警察は盗んだ携帯電話を使用していた25人を特定しており、数日以内に「この電話は使用できない」と通知するとしています。また、被害者は警察署に呼び出され、盗難電話追跡装置の説明と共に、携帯を返却しました。警察は「特別な理由が無ければ、盗まれた携帯を使用している人は犯罪に関与していることになる」と警告しています。

 回収された携帯電話の大部分は4月に盗まれたものですが、携帯電話事業者からデータ提供を受け、5月盗難分についても捜査が続けられています。

 また警察は、回収した携帯電話の1台が、今年2月13日に起きた殺人事件に関与していた疑いがあり、刑務所に収監されている人間と別の未逮捕者の2人が犯人と見て捜査を続けています。

アマゾン破壊データは真実か

 地元メディアによると、ボルソナロ大統領は21日、国立宇宙研究所が発表した「森林破壊のデータ」を批判しました。大統領は「間違ったデータを広めるのは国を傷つける」としています。

 今月初め同研究所は「アマゾンの森林伐採は6月、920.4km²に及び、前年同月比で88%も拡大した」と発表していました。

 大統領は「環境問題は環境の精神病だ。本当に森林破壊を起きているのなら、これと戦わなければならない。しかし、今回発表された数字は昨年と同じように見える。それは真実ではないのではないか」と疑問を呈し、「こうしたブラジルを傷つける情報には与しない」としています。

大量の銃器を摘発=リオデジャネイロ=

 地元メディアによると、警察は民間人協力者と合同で18日、リオ北部の犯罪組織拠点を捜索、ライフル銃と機関銃を28丁、リボルバーやピストルなど30丁の武器を発見、押収しました。さらに860㎏のコカインを含んだベースペースト150㎏も押収しました。

 リオデジャネイロヴィッツェル知事は記者会見で「州史上最大の武器や麻薬を押収した。警察は、銃器など武器庫の存在を早くから補足しており、場所の情報も得ていた。今回は探知犬の助けで、武器や麻薬の発見に成功した」とうれしさを露わにしました。

 また知事は、「押収された武器は国際的なテロリストが使用するもので、武器調達の資金も彼らが与えていた可能性がある」と指摘しました。武器は、地域社会の住民や労働者が使用するものではなく、「黒人、奴隷、スラム街の住人が使用している」とも語りました。

情報サービスが好調

 地元メディアによると、ゼツリオ・ヴァルガス財団が17日、6月の輸出総額が対前年同期比10.4%減と発表しました。また、5月調査の四半期国内総生産は、2月に発表した四半期より0.8%減少としています。

しかし同財団は、「国内総生産を月間だけで見ると、5月は4月より0.5%増加し、昨年5月比で4.3%増加、12カ月間累積では1.2%成長した」としています。

 業界別に見ると、サービス(-0.4%)、産業(-1.4%)、農業と家畜(-1.2%)と各部門で減少しています。サービス部門で目立って減少したのは輸送で2%減。同部門では情報サービスのみが0.2%増になっています。輸入は2.4%増で、家計消費と投資はいずれも0.2%増加しました。

 同財団調査はブラジル地理統計研究所が四半期ごとに発表します。1月から3月、4月から6月、7月から9月および10月から12月の期間を四半期として発表しています。