中南米の最新情報

NPOチャレンジブラジルが、ブラジルを中心に中南米のニュースをお届けします。

刑務所で極小携帯電話など没収 

 10日付伯字紙によると、リオデジャネイロ州刑務所管理当局は、ミルトン・ヂアス・モレイラ刑務所で監房内の検査を実施、多数の電子機器や麻薬などを発見、没収しました。中には全長がボールペンのキャップ程しかない極小サイズの携帯電話機もありました。

 ブラジルの刑務所では携帯電話機や麻薬など多種多様な物品が面会者や刑務所内部の協力者によって持ち込まれます。麻薬を体内に隠し持ち込もうとした女性が逮捕されたとか、鳩を使って携帯電話機を刑務所内に運ぼうとして見つかったとかいう報道も珍しくありません。

 10日の検査では携帯電話機89台、ルーター1台、SIMカード6枚、コカイン90グラム、大麻715グラム、腕時計8個、現金1567レアル(約4万7000円)が発見されています。刑務所管理局は1月から6月までに、刑務所監房内で合計5339台の携帯電話機を発見、没収しています。昨年同時期の没収数(3756台)を大きく上回りました。当局は「法律で認められていない物品の持ち込みを阻止するため、検査を強化する」としています。

中国向け鶏肉輸出が49%増

 7日付伯字紙によると、ブラジル動物性タンパク質協会は、今年5月の中国向け輸出鶏肉は昨年同期比49%増の5万4800トンで、同月輸出鶏肉の14.7%を占めた、と発表しました。アフリカ豚コレラ発生が、中国での需要増につながっていると見ています。

 今年5月の鶏肉輸出はアラブ首長国連邦向けも際立っています。同国への輸出鶏肉は輸出量の8.2%に相当する3万700トンに上り、昨年同期比49%の増加です。

 ブラジル全体で5月に輸出した鶏肉(生鮮肉および加工肉)は昨年比14.4%増の38万1100トンに上り、ドルベースで6億5890万ドルになります。今年1~5月累計鶏肉輸出量は昨年同期比3.6%増の165万9000トン、輸出額は同6.3%増の27億6600万ドルでした。報道では、ブラジルは世界最大の鶏肉輸出国としています。

ブラジル政府、南米の通貨統一希望

 ブラジルのジャイル・ボルソナロ大統領は7日、政府は南米全体が単一通貨を持つことを望んでいると述べました。南米単一通貨の提案は、パウロ・ゲデス経済相が6日、発表していました。

 7日付伯字紙によると、ボルソナロ大統領は「通貨統一はまず、ブラジルとアルゼンチンから始め、その後、他の国々が望むのであれば拡大させる」としています。

 大統領によると、新しい通貨の採用は損失と利益両方可能性があるが、一般的には失うものよりも得るものの方が大きいとし、「単一通貨は南米における社会主義者らの冒険的な行為を妨害することができる」と話しています。

政府は中国関係を一段強化へ

 5日付アジェンシア・ブラジルによると、ブラジルのエルネスト・アラウジョ外相は4日、政府は現在、中国との関係をさらに高いレベルへ引き上げているところだと語り、「輸出促進や投資拡大のため、(中国と)新たな関係を構築することを望んでいる」と、中国との関係を今以上に深める政策に取り掛かっています。

 中国およびBRICS諸国(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)とブラジルの文化的、経済的関係の深化を図る目的で、今年4月に創設された国会議員連盟主催で4日に開かれたハミルトン・モウラン副大統領を表敬する夕食会で、アラウジョ外相は「中国、米国両国とは同時に有益な関係を築くことができる。何の問題もない」と述べ、伝統的にブラジルとの間で貿易および投資の良好な関係を維持してきた中国、米国と良好な関係を維持することに「矛盾」はないとの考えを示しました。

 中国は近年、ブラジルの有力な貿易相手国になっています。アラウジョ外相は「貿易と投資の両面で新たな道筋をつけるため、中国との対話拡大を奨励している」と、中国とのより緊密化の途を探っていると明らかにしました。

 ブラジル─中国の貿易総額は2018年、989億ドルに上っています。中国へ642億ドルを輸出し、中国から347億ドルを輸入しました。ブラジル中央銀行によれば、中国からブラジルへの直接投資残高は18年に690億ドルになっています。主な投資先はエネルギー分野(発電および送電、石油、ガス)、インフラ分野(港湾および鉄道)、金融、サービス・イノベーション分野に向けられています。

 ボルソナロ大統領は中国との関係促進を図るため今年9月、中国訪問を予定しています。次いで11月には中国の習近平国家主席が、BRICS首脳会議出席のためブラジルを訪れる予定です。

「狂牛病」で中国への輸出を停止

 3日付伯字紙によると、農牧食糧供給省は中西部マット・グロッソ州内で飼育されていた牛が牛海綿状脳症狂牛病)に感染していたことが分かり、ブラジル産牛肉の中国への輸出を停止させました。同省によると、牛肉輸出の停止はブラジルと中国の間で結ばれている衛生協定に基づく「自動的」なものです。2015年に両国政府が署名した合意では、何らかの疾病が検出され、リスクがある場合、輸出を停止すると謳われています。

 同省は、狂牛病感染が確認されたものの、「ブラジルのリスク分類では『無視できるリスク』で、国内での衛生上の危険性はない」としています。

 4日付伯字紙によると、テレザ・クリスチナ農牧食料供給相は、「ブラジル政府はすでに、中国向け輸出の一時停止措置を解除し、輸出を再開させるのに必要な書類を国際獣疫事務局に提出した。同事務局は書類審査を終えており、中国は数日のうちに、ブラジルの輸出停止を解除するよう求めてくるだろう」と語っています。

銃の所持・携行に市民の大多数が「反対」

 ジャイル・ボルソナロ大統領が発した「銃器所持を緩和する大統領令」についてブラジル世論調査・統計機関が調査したところ、大統領令に反対する市民が61%(賛成は37%)に上り、「市民の銃器携行を柔軟」にする政策にも市民の73%(賛成は26%)が反対を表明しました。伯メディアが3日付で伝えました。

 今回の調査は、19年3月16~19日に実施され、全国の143の自治体で2002人の市民が回答しています。回答者の中で、男性の50%が銃器所持の緩和を支持し、女性の支持者は27%でした。

 同調査では市民の51%が「武装した人々の増加は社会を安全にする」という主張に同意しないと表明。「自宅に銃器を保有しているとより安全である」という主張にも37%が同意しないとしています。また「銃器を携行すれば安全になる」という主張に47%が「反対」を表明し、18%が「部分的に反対」としています。

2~4月期の失業率12.5%

 ブラジル地理統計院が31日発表した失業率は、2019年2~4月期は12.5%と、同年1~3月期の12.7%に比べ0.2ポイント低下しました。18年2~4月期比でも0.4ポイント低くなっています。伯字紙の報道です。

 同地理統計院は、全体の2~4月期の失業者は1320万人で、就業者は1~3月期とほぼ同じ9240万人と推定しています。調査・統計を担当するコーディネーターは、「労働市場が上向いているのかどうか、まだ分からない」との見方でした。

ハイネケンが5.5億レアル投資

 オランダに本拠を置く世界的ビールメーカー、ハイネケンのブラジル法人が30日、サンパウロ州パウリスタ投資公社(Investe SP)との会合の席で、同州で5億5000万レアル(約165億円)の投資を行うと発表しました。

 伯字紙によると、この投資は同社がサンパウロ州アララクアラ市、イトゥー市、ジャカレイー市に持つビール工場と、「ブラジルのスイス」などとも呼ばれる同州カンポス・ド・ジョルダン市に持つマイクロブルワリー(小規模醸造所)「バーデン・バーデン(Baden Baden)」の近代化を図るのが目的です。ハイネケンは、2019年中にサンパウロ州内陸部に新しい流通センターを開設するとも発表しました。

 ハイネケンは17年、キリンホールディングスの100%子会社としてブラジルでビールや炭酸飲料などの製造・販売を行っており、業績不振のブラジル・キリン社を買収するなど国内における事業を拡大してきました。18年には、同社はブラジル市場での成長が予想を上回り、現在の工場では生産が追いつかなくなり新たな投資に踏み切ったものです。

 ハイネケンはブラジルで、「Heineken」「Sol」「Kaiser」「Bavaria」「Amstel」「Kirin Ichiban(キリン一番搾り)」など12ブランドを製造・販売しています。

中国発の「ニセ玩具」を押収

 伯字紙によると、国税庁は30日、サントス港(サンパウロ州)で中国の港から出荷されたプラスチック製の組み立てブロック「レゴ(LEGO)」、「ディズニー(Disney)」、スパイダーマンなどのキャラクターを持つ「マーベル(MARVEL)」といった有名ブランドの模倣品42トン(評価額790万レアル=約2億3000万円)を押収しました。

 国税庁の調べで、押収された模倣玩具は中国・浙江省の寧波(ねいは)港から積み出されたコンテナ3基に収納されており、コンテナはすべて同一の業者が輸入していました。模倣玩具はサンパウロ市内で安価な製品を販売する小売店や露天商が売りさばく予定だったと見られています。

 同庁密輸品監視・制圧部門の責任者は、「スキャナーによるコンテナ内部の検査と諸々の書類の評価などを含むリスク分析の作業で、違法製品が積み込まれたコンテナを特定することができた」としています。コンテナの中には11種のブランド偽造玩具のほか、有名音響機器ブランド「JBL」のポータブルスピーカーの偽造品もありました。各ブランドの担当者が積み込まれていた製品の評価、分析を行った結果、本物は皆無と確認しました。

 国立工業度量衡・品質規格院によると、今回押収された偽造玩具をはじめとする違法製品はどれも、法律で定められた基準に沿って製造されたものではないため、破壊処分されます。利用可能なプラスチック材は再利用されます。

トヨタが340人解雇

 ブラジル・トヨタは、サンパウロ州ソロカバ市の工場労働者340人の解雇に踏切ます。大量解雇は、アルゼンチン向け輸出が落ち込んでいるのが原因です。アルゼンチンは経済危機に直面、新車需要が大きく後退、その影響はトヨタだけでなく、他の自動車メーカー各社にも及んでいます。

 29日付伯字紙によると、トヨタのソロカバ工場は昨年10月に740人を増員、3交代制で生産を行ってきました。今回は740人の半数近くを解雇する予定です。トヨタは、これから希望退職者を募り、応募者が目標に達しない場合は、3交代制の開始にあたって一時的に雇用した740人の一部を解雇するとしています。

 ソロカバ工場の従業員は2800人、2交代制から3交代制に生産態勢を強化したことで、同工場の年産能力は10万8000台から16万台に向上しました。今年は4月末までに5万台を生産し、その30%の大部分がアルゼンチン向けに輸出されました。

 トヨタはコスト削減のため、サンベルナルド・ド・カンポ、インダイアツーバ、ポルト・フェリス(いずれもサンパウロ州)各工場の福利厚生などのカットを、従業員に提案しています。ソロカバ金属労組のレアンドロソアレス会長は「トヨタの提案は、実質的な賃上げを21年まで凍結するほか、従業員に対する利益配分の削減、医療保険加入の削減といったものだ。労働者は会社の状況を理解しているが、給与を諦め、生活費の増加は認めたくない」と話しています。