中南米の最新情報

NPOチャレンジブラジルが、ブラジルを中心に中南米のニュースをお届けします。

高齢者の43%が家計支える

 アジェンシア.ブラジルの報道によると、全国商店経営者連合とクレジット保護サービスが州都居住の高齢者を対象の調査で、定年退職した21%が何らかの報酬を得る活動に従事していることが判りました。理由は、年金による収入が家計を賄えないためとしています。調査は27州都の60歳以上の男女を対象に行われ、612人が回答しました。

 現在、年金受給者は調査対象者10人あたり7人となっています。60歳以上で有給の職業に携わっている48%は、生産的な活動に関わりたいためと回答しています。のんびりとしたくないと回答した人も46%でした。また、多くの世帯が60歳以上の家族の収入を当てにしていることも明らかになっています。家計に経済的に貢献している高齢者の割合は91%で、家計を支える主要な収入源だと答えた人も43%に上っています。

 人生における退職後の時期の計画に関する質問では、回答者の32%が老齢に備えた貯金をしてこなかったことを認めている。25%はいつ貯金を始めたか覚えていないと答えた。貯金を始めた年齢を覚えていた回答者は43%で、貯金を始めた年齢の平均は27歳となっている。

 年金受給の準備をしなかったと答えた回答者は、理由として、所得不足(29%)や予算上の余剰金不足(25%)を挙げらています。

軍警察官53人を汚職や麻薬取引の疑いで拘束

 国内メディアによると、サンパウロ州軍警察監察局と同州検察局は18日、同州を拠点とする犯罪組織PCC(州都第一コマンド)に協力していた疑いで53人の軍警察官とPCCメンバー3人を拘束しました。拘束された軍警察官はいずれもサンパウロ市南部の第22大隊所属で、サンパウロ市北部にある軍刑務所に護送されています。

 捜査には450人の捜査員が動員され、サンパウロ、ミナス・ジェライス、リオ・デ・ジャネイロ各州の計19市で行われました。容疑は、麻薬密売人から金銭を受け取った汚職や麻薬取引への関与です。1度にこれだけの軍警察官が拘束されるのは初めてです。

高齢者介護の雇用が10年で6倍

 国内メディアによると、労働省が13日に発表した社会情報年次報告で、2007年から17年に高齢者介護の雇用が6倍以上に増加していることが判りました。高齢者介護に従事する人数は、07年の5263人から17年には3万4051人に増加し、増加率は547%にもなっています。介護雇用が最も増加したのはサンパウロ州で、1万1397人分の雇用が創出されました。その他ミナス・ジェライス州は4475人、リオ・グランデ・ド・スル州が2287人増加しました。

 高齢者介護に次いで雇用が増加したのは、幼年教育の教員で398%増加しています。年齢層では30歳~49歳の男性に大きな増加がみられました。次いで増加したのはフィジカルトレーナーで327%増加しています。サンパウロ州で6149人、リオ・デ・ジャネイロで3374人、ミナス・ジェライス州で2618人増加しました。農産業では、複式収穫機(コンバイン)操作者が253%増加し、サンパウロ州では5552人、ゴイアス州パラナ州でそれぞれ1158人増加しました。

ネッタイシマカ媒介感染症が流行の恐れ

 アジェンシア・ブラジルによると、保健省が12日に発表したネッタイシマカ繁殖指数で、国内の504市でネッタイシマカの繁殖が高まっており、感染症デング熱チクングニア熱、ジカ熱)流行の可能性を指摘しています。ネッタイシマカ監視活動を実施している5358市のうち1881市で警戒が必要とされとされています。

 警戒が必要とされる州都は、アマゾナス州マナウスミナス・ジェライス州ベロ・オリゾンテペルナンブコ州レシフェリオ・デ・ジャネイロ,ブラジリア、マラニャン州サンルイス、パラー州ベレンエスピリト・サント州ビトリアバイーア州サルバドール、ロンドニア州ポルト・ベーリョゴイアス州ゴイアニアマット・グロッソ・ド・スル州カンポ・グランデの12市です。

 流行の可能性を指摘されているのは、トカンチンス州パルマスロライマ州ボア・ビスタ、マット・グロッソ州クイアバアクレ州リオ・ブランコで、デング熱だけでなく、ジカ熱とチクングニア熱の流行可能性も指摘しています。

 この調査では、国内5地方におけるネッタイシマカの主な繁殖場所が明らかにされています。北東部では、樽やタライなどへの貯水が繁殖源になっています。南東部では、住宅の植木鉢や瓶での繁殖が指摘され、中西部、北部、南部では、プラスチック容器、ペットボトル、缶、スクラップ、建設現場のゴミで繁殖しているとされています。保健省は、今年はじめから12月3日までのデングウィルス感染症例は24万1667例で、17年(23万2372例)と比べ若干増加しているとしています。

「ブラック・フライデー」ネット通販は23%増

 国内メディアによると、2018年の「ブラック・フライデー」商戦のネット通販売上高は、17年同期比23%増の26億レアル(約780億円)でした。注文件数は同13%増の427万件、注文1件当たりの金額は昨年比8%高の608レアルでした。オンラインで少なくとも1件購入した消費者は、17年同期比で9%増の241万人でした。同業界の情報を専門とするイービット・ニールセンが発表したものです。

 同ニールセンの調べでは、ネット通販業者らの間で「サイバー・マンデー」と呼ばれるブラック・フライデー明けの月曜日は、17年同期比20.7%増の3億7200万レアル(約111億円)の売上高でした。注文件数は75万2000件で、金額は1件当たり494レアルでした。

公務員566人を「汚職」で追放

 国内メディアによると、国家透明性管理総監督省は12日、同省の主要な活動に関する集計を発表し、今年1月から11月間に不正行為を行ったとして公務員566人を「追放」処分にしました。このうち371人は汚職に加担したとしています。処分した公務員は昨年は506人でしたが、今年は増加、2003年以降で最も多くなりました。

 汚職で追放された公務員は、個人的利益のために役職を利用、賄賂または不当な恩恵の受け取り、個人的活動への資金の流用、行政不誠実、公的資金および国家財産への損害などが理由に挙げられています。

 同省の発表では、今年1月から11月の期間に連邦政府の内部管理措置を通じ計72億3000万レアルの公的資金が国庫に返納されました。返納されたのは、入札および契約のキャンセル、不当に支払われた資金の回復、コスト削減などによるものです。

紛失・廃棄の漁具が海洋汚染

 アジェンシア.ブラジルが8日報じたところによると、国際的な動物保護NGOワールド.アニマル.プロテクションが、沿岸17州のうち12州で海中で、紛失または廃棄された漁網や漁具による海洋生物への悪影響が発生していると発表しました。

 発表は、同NGOが国連環境計画と提携しサンパウロ市で開催した「プラスチックオーシャン」で行ったもので、1日あたり最大で6万9000の海洋生物が影響を受けていると指摘し、ブラジルでは1日あたり約580キロもの漁具が海中に紛失・放棄されていると推定しています。

 悪影響を受けている海洋生物は、クジラ、ウミガメ、ネズミイルカ、サメ、エイ、ハタ、ペンギン、カニ、ロブスターとされ、それに沿岸の鳥類も含まれています。同NGOは「政府による海洋環境の監視活動強化と環境に関する啓発キャンペーンの実施、漁具を発見するシステムの構築」の必要性を訴えています。

強盗グループの現金強奪事件が3件目

 国内メディアによると、北東部マラニャン州州都サンルイスから476キロメートル離れたアラメ市で9日、武装した強盗グループが銀行支店を爆破し、現金を強奪する事件が発生しました。同州内での銀行支店襲撃事件は、25日以降3件目になります。

 アラメ市は同州内陸部の人口約3万1000人の町。事件発生は9日午後9時半ごろで、強盗グループは約10人と推測されています。犯行は同市に通じる主要道路を封鎖してから始めています。犯人たちは襲撃を前に何人かの市民を人質に取りましたが、後に全員解放し負傷者はいませんでした。

 強盗グループは約1時間に渡り銀行を襲い、メンバーは全員逃亡しました。警察は「標的になった銀行支店にはそれほど多額の現金はなかった」と発表しています。

 同州では、先月25日にサンルイスから約240キロメートル離れたバカバル市で武装強盗グループが銀行支店を襲い、1億レアルを強奪しています。6日未明にもサンルイスから150キロメートル離れたウンベルト・デ・カンポス市で銀行強盗事件が発生しましたが、犯人たちは現金強奪に失敗しています。

銀行支店襲撃で人質6人含む12人死亡

 メディアの報道によると、北東部セアラー州ミラグレス市で7日、武装した強盗グループが2カ所の銀行支店を襲撃、強盗グループと警察の激しい銃撃戦になり、強盗は金の強奪には失敗しました。しかし、この銃撃戦で強盗グループのメンバー6人と人質だった6人が死亡しました。同市市長は、「死亡した人質は犯人たちによって殺害された可能性がある」と語りました

 事件のあったミラグレス市はセアラー州フォルタレーザから約390キロメートル離れ、ペルナンブコ州境に近い人口2万8000人の町です。強盗グループは、同市を通る国道をトラックで封鎖し車を止め、乗員を人質に犯行に及びました。死亡した6人の人質のうち5人は近隣市に住む父子とサンパウロから訪れた親戚で、空港で親戚を迎え自宅へ戻る途中でした。

 同州公共保安局は、「事件後、強盗グループのメンバー2人を拘束し、銃器や爆発物を押収した。その他のメンバーは逃走し、警察が捜査中だ。犯人は主に北東部の各州で暗躍しているグループと思われる」としています。

貧困層が200万人増加

 国内メディアによると、ブラジル地理統計院が5日公表した総合社会指標で、2017年の貧困層が16年の5280万人(人口の25.7%)から200万人増加したことが判りました。人口の26.5%(5480万人)が世界銀行が設定した貧困(1人あたり1日あたり5.5ドル、世帯1人あたりの1カ月の収入が406レアル以下)層に相当することになります。

 地理統計院人口・社会指標部門アナリストは、「労働所得が総収入の約70%を占めている事から、労働市場の悪化が貧困増加の主要な原因」との見方をしています。アナリストは、17年には景気後退を脱して経済活動が再び増大してきたとしながらも、成長しているのは農業部門で、失業者の解消にはなっていないと説明しています。

 貧困層の存在は地方によって違いがあり、北東部で同地方の人口(5700万人)の44.8%(2560万人)を占め、南部では12.8%(380万人)に過ぎません。17年のブラジル人の平均所得は1511レアルで、貧困層の収入はこれの3分の1以下です。平均所得の地域格差も大きく、北東部は984レアルで、中西部は1776レアル、連邦直轄区は3087レアルと高い収入でした。