中南米の最新情報

NPOチャレンジブラジルが、ブラジルを中心に中南米のニュースをお届けします。

ホテルで日本酒の試飲会

 日本移民110周年を記念して日本酒の試飲会が26日、サンパウロ市内のインターコンチネンタルホテルで開かれ、日本人、日系人合わせて60人が集まりました。同ホテル国際販売部長の宮田カチアさん(50歳、4世)が企画したもので、貿易会社のTRADBRASと日本食レストラン「RYO(良)」が協力しました。宮田さんは、「日本人が多く宿泊されるホテルなので、日頃の感謝を込めて企画しました」と話しています。

 イベントでは、日本酒を輸入するTRADBRASの日本酒ソムリエ、石井セルソさん(3世)が日本酒の歴史や種類について説明、兵庫県醸造される「白鹿」「黒松白鹿」「白鹿・純米酒超辛」「白鹿・純米酒山田錦」を試飲しました。参加者の中には、ブラジルでは一般的なカクテルの「サケピリーニャ」を飲んだことはあるものの、日本酒をそのまま飲んだことはないという人もおり、種類の豊富さや味わいの違いに驚いていました。

 インターコンチネンタルホテルでは今後、8月に醤油、11月に煎茶という日本特有の商品を紹介するイベントを開催予定です。

違法占拠ビル火災・建物崩落で40人が行方不明

 サンパウロ市中心部で1日起きた24階建てのビルが火災後崩壊した事件は日本でも報じられましたが、現地からの続報によると、このビルは数年前から違法に占拠され、ここに住んでいた44人の所在が確認されていません。消防による捜索活動は2日も続けられました。

 崩落した建物の火災は1日午前1時半ごろに発生し、5階で爆発が起きました。その後急速に他の階に炎が広がり、午前2時50分ごろには建物全体に火が回り、建物は崩壊しました。火災は周辺の建物にも影響を与え、5カ所が立ち入り禁止になっています。崩壊したビルに隣接した築100年以上の歴史建造物・ルター派教会も80%が損壊しました。

 同ビルには2000年代初めまでサンパウロの連邦警察本部が置かれ、09年までは地階に国立社会保険院の事務所もありました。12年ごろから断続的に住居獲得運動グループによる侵入が起き始め、現在はLMD(Luta por Moradia Digna)が占拠していたと報じられています。ビルは1960年代に建設され、24階建て。92年にサンパウロ市の歴史建造物に指定された由緒ある建物でした。国が所有し、17年からサンパウロ市へ貸与されています。

 建物の10階までを不法に占拠した人たちが住居として利用し、今年3月には146世帯(372人)の居住が確認されています。居住者の25%は外国人でした。居住者は月に200~400レアルを維持費用としてLMDに支払っていました。火災後居住者の44人の所在が確認されていませんが、入れ替わりが多いため、すでに転居した可能性もあるとみられています。

 火災の原因はまだ明らかになっていませんが、当局は、家庭内の小型プロパンガスや圧力鍋が爆発した可能性もあるとしています。このほか、火災の起きた階で居住者夫婦がけんかしていたという証言もあり、そのどさくさで火が点けられたとの見方もあります。消防では、電気のショートの可能性について調べています。

高血圧症関連で年30万人が死亡

 フォーリャ・ダ・レジオンの報道によると、ブラジル高血圧症協会は26日、年間30万人、1日あたり820人が高血圧を原因とした病気で死亡していると発表しました。高血圧症は成人人口の30%、高齢者では50%以上が罹っており、心臓発作の40%、脳血管障害の80%の原因になっています。ブラジルでは心臓血管疾患が死亡原因のトップで、続いてガン、暴力などの外的要因となっています。

 高血圧症は生活習慣や遺伝的な要因が関係しているとされ、エレーナ・バローゾ心臓外科医は、「高血圧症の父親がいる家族は高血圧になる可能性が高く、両親が共に高血圧症だと可能性はさらに高まる」と指摘しています。さらに同医師は、「高血圧には特有の症状はないものの、視力障害、頸部痛、疲労、めまい、鼻出血などのいくつかの徴候には注意を要する」と話しています。

 同医師は「対策は塩分の摂りすぎに注意し、体操などを心がけること。肥満を改善するためにも、毎日30分の歩行をしたい」と生活習慣の切り替えを勧めています。

自動車生産が好調

 各メディアによると、ブラジル国内で製造された自動車の数は3月期、乗用車、軽商用車、トラック、バス合わせて26万7,460台に達しました。全国自動車工業会が5日発表したもので、昨年同月比で13.5%増です。3月の数字としては14年以降で最大の生産数になりました。

 今年第1四半期(1~3月)の累計生産数は前年同期比で14.6%増、14年以降で最も多い69万9,657台になりました。自工会のアントニオ・メガレ会長は「これは非常に意味深い数字だ。我々はここ10年間の平均値の71万8,000台に迫っている」と語っています。

 完成車の輸出は、3月単月は6万7,488台と前年同月を2.6%下回っていますが、第1四半期累計は18万200台と前年同時期を3.3%上回っています。輸出についてメガレ会長は「ここ10年間の平均(11万300台)をかなり上回っている。(この時期の)累計輸出台数の過去最高であり、年間輸出台数も過去最高をマークする可能性がある」と述べ、3月の前年同月割れの影響はないと指摘しました。自工会は18年の年間輸出台数を80万台以上と見込んでいます。

ブラジルサッカー連盟前会長の永久追放をFIFAが発表

 国際サッカー連盟FIFA)は27日付で、ブラジルサッカー連盟前会長マルコ・ポロ・デル・ネロ氏を生涯にわたってサッカーに関係するあらゆる活動を禁じると発表しました。各メディアが報じているもので、FIFAは、デル・ネロ氏がFIFA倫理規定の第13条(一般的行動規範)、第15条(忠誠心)、第19条(利益相反)、第20条(贈答品または他の特典の授受)、第21条(贈収賄及び汚職)に違反したとして、サッカー界から永久に追放し、100万スイスフラン(約1億1000万円)の罰金を科すとしています。

 デル・ネロ氏の前の会長だったジョゼー・マリア・マリン氏も同様の処分を受けており、ブラジルサッカー界のトップが2代続けて、汚職などを理由にサッカー界から追放されるという事態になりました。

 デル・ネロ氏側はこの決定に異議を申し立てる意向を示しています。異議申し立てはFIFA控訴委員会に行い、控訴委員会で申し立てが却下されれば、スイス・ローザンヌにあるスポーツ仲裁裁判所へ提訴することになります。デル・ネロ氏の弁護士事務所は報道向けに、倫理委員会の決定を「驚きと憤り」をもって受け取ったとした上で、デル・ネロ氏が汚職の枠組みに関与したことを示す証拠はなく、倫理委員会は手続き違反を行っていると主張しています。

 デル・ネロ氏は2015年、サッカー界の世界的規模の汚職の枠組みへの関与が疑われ、米連邦捜査局の捜査対象になり、同年、米司法省から7件の犯罪(詐欺3件、資金洗浄3件、犯罪組織への参加1件)にかかわったとされました。その結果を受けFIFA倫理委員会が内部調査に着手、永久追放の結論を出しました。

肥満の解消でガンの発症を抑制

 アジェンシア・ブラジルによると、サンパウロ大学医学部予防医学部が24日、米国ハーバード大学と実施した疫学調査で体重過多や肥満を改善すればガンの発症を避けられる可能性があると発表しました。肥満改善で年間に1万5000件(全体の3.8%)のガン発症を予防出来るとしています。

 調査では、2025年には体重過多や肥満が原因のガン発症は2万9000件以上になると推測しており、これは全ての新規ガン症例の4.6%を占めます。同大学医学部のレアンドロ・レゼンデ氏は、「ブラジルでは超加工食品の登場で体重過多や肥満が増加しており、これによるガンの増加が懸念される。ガン全体を見ても、人口増加や高齢化により増加すると思われる」と述べています。

 レゼンデ氏は、「ガンの疫学」誌に掲載された論文「ブラジルにおける高体格指数に起因するガンの負担増加」の著者の一人。この調査は、サンパウロ州調査支援基金の助成で、ハーバード大学で実施されました。同氏は、「この調査では、食品が栄養学的に変化しつつある事を示している。超加工食品とはカロリーが高く、砂糖、塩分、脂肪が多く、安価な食品を指している」と説明しています。

 世界保健機関は、体重過多と肥満は乳(閉経後)、結腸、直腸、子宮、胆嚢、腎臓、肝臓、多発性骨髄腫、食道、卵巣、膵臓前立腺、胃、甲状腺など14種類のガンのリスク増加と関係があるとしています。ブラジルでは、これら14種類のガンは年間の新規ガン発症の半数を占めているとされます。

 同調査で利用されたブラジル地理統計院のデータによれば、ブラジル国民に占める体重過多または肥満の割合は、2002年の40%から13年には60%に増加しています。

薬物の密売組織を摘発

 地元メディアによると、サンパウロ州文民警察は24日、密売組織を摘発、容疑者8人を逮捕し薬物等を押収しました。警察は密売組織の内偵を2017年から続け、今回の摘発に漕ぎ着けました。組織はサンパウロ市内中心部にある同性愛者が集まる広場ラルゴ・ド・アロウシェ周辺のナイトクラブで薬物の密売を行っていました。

 押収された薬物の中には、獣医の処方箋なしでは購入することができない馬用の麻酔薬から合成した薬物もありました。警察によると、この薬物は馬用の麻酔薬を希釈して粉末状にしコカインに混ぜたもので、生物へ害を与える危険性があると指摘しています。関係者はこれが蔓延すると、環境破壊に繋がると懸念しています。

開通したグアルーリョス空港への鉄道は不便

 今年3月31日、サンパウロ市内とグアルーリョス空港が鉄道で結ばれました。これでタクシーやバスのように交通渋滞に巻き込まれる心配も無く、最も低料金なサンパウロ市内から同空港へ向かう交通手段が登場したことになります。しかし、この電車は時間がかかりすぎ、利用に不便という声が上がっています。

 地元メディアは、キャスター付き旅行カバンを持った女性1人が、サンパウロ市内中心部の地下鉄パウリスタ駅からグアルーリョス空港第3ターミナル(国際線ターミナル)まで利用したところ、2時間10分もかかったと報じています。

 時間がかかる理由は、4回も乗り換える必要があるためです。荷物を持って4回も乗り換えするのは、荷物がキャスター付きであっても、女性にはきつい作業です。乗り換えのたびに人込みをかき分け階段やエスカレーターを上ったり下りたりしなければならず、電車とホームの間には大きな隙間や段差もあります。駅とターミナルを結ぶシャトルバスには荷物を収納するスペースもありません。せっかく開通した空港アクセス電車ですが、利用者の中には不便極まりないと指摘する声もあり、今後、大幅な改善が求められそうです。

上場企業全体で17%の増益

 各メディアによると、上場企業295社の2017年純利益合計は16年に比べ17.06%増の1440億レアル(約5兆400億円)に上りました。有価証券取引委員会に提出された標準財務諸表のデータをまとめたものです。

 17年に最も利益を上げた企業はイタウ銀行でした。同行の純利益は239億6455万1000レアルで、16年の純利益を23億2542万6000レアル上回っています。イタウ銀行に続くのは資源大手のバーレで、純利益は176億2720万1000レアル、続いてブラデスコ銀行、4位がブラジル銀行、5位がサンタンデール銀行と銀行が続きました。

 業界別に見ると、高利益を挙げたのは銀行業界で、上場23行の利益合計は16年比12.27%増の631億レアルに上っています。銀行に続くのは鉱業界で、同業界の上場3社の合計は16年比22.8%増の174億レアルでした。欠損を出したのは建設(損失額34億レアル)、農林水産(同4億3280万レアル)、鉄鋼・冶金(同1億6950万レアル)の3業界になっています。

ルーラ元大統領の2審の司法手続き終了

 各メディアによると、連邦第4地域裁判所で18日、ルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ元大統領の異議申し立てが却下され、2審における司法手続きが全て終了しました。

 ルーラ氏の弁護側が同裁判所に行った最初の異議申し立ては3月26日に却下され、ルーラ氏は今月7日からパラナ州クリチバの連邦警察施設に収監されています。18日に却下された異議申し立ては、ルーラ氏側が2審で行うことができる最後の申し立てでした。

 2審の司法手続きはこれで全て終了し、今後は司法高等裁判所への特別上訴、連邦最高裁判所への特別抗告が残されています。