中南米の最新情報

NPOチャレンジブラジルが、ブラジルを中心に中南米のニュースをお届けします。

GDPが3年ぶりにプラス成長

 2年続けて前年比3.5%の縮小を続けていたブラジルの国内総生産GDP)が3年ぶりにプラスに転じました。ブラジル地理統計院が1日発表したもので、2017年のGDPは前年に対して1.0%拡大、6兆5599億レアル(約229兆6000億円)に達しました。地元メディアの報道です。

 農業の第1次産業とサービス業の第3次産業がそれぞれ13.0%、0.3%伸び、工業などの第2次産業はプラスマイナス0.0%でした。1人当たりの実質GDPは前年よりも0.2%上昇し3万1587レアル(約110万円)になっています。

サンパウロ州はプラス1.6%

 サンパウロ州政府は27日、州データ分析機構がまとめた17年の州内GDPを発表しました。それによると対前年比1.6%増の1兆9000億レアル(約66兆5000億円)でした。産業別で見ると、第3次産業が1.6%、第2次産業が1.3%伸び、第1次産業は0.3%の縮小でした。

 同州のジェラルド・アルキミン知事は「これは州民の大変な努力の結果だ。成長を再開したという証でもあり、州に対する多くの投資、雇用増、収入増が好結果をもたらした」と17年を振り返りました。

公共保安大臣が汚職、犯罪撲滅に意欲

 公共保安省の大臣に就任したラウル・ジュングマン氏が28日の記者会見で、警察官の新規雇用、幹部職員の再配置、汚職捜査に優先的に取り組む姿勢を示しました。公共保安省は臨時に設置されたもので、連邦警察、連邦道路警察、国家刑務所管理局、国家公共保安局などが法務省から同省の管轄になります。国内メディアが28日付で報じました。

 公共保安省は国と州の間の治安活動を統合・監督する機能を持ち、設置期間は限定されています。60日以内に上下両院で承認されれば、60日間の延長が可能になります。組織は大臣、事務局長、9人の補佐官が任命される他は、法務省の関連部局がそのまま移行、業務に当たります。

 新大臣のジュングマン氏はペルナンブコ州出身。同州レシフェ市議、同州企画局長、カルドーゾ政権の農地開発大臣、国家植民農地改革院、国立再生可能天然資源・環境院の総裁を歴任しています。連邦下院議員に3度当選。2016年5月からはテメル政権の国防大臣を務め、国内各州における国軍兵士が派遣される治安活動の調整などに当たってきました。

 同大臣は会見で、年内に新たに連邦警察官500人と連邦道路警察官500人を採用する方針を表明しました。同省の今年の予算については、法務省の関連機関の予算が充てられるとしています。この他、国境地域の連警施設で活動する捜査官の数を300人に増やすほか、犯罪・汚職対策部門強化のため20人の署長を同部門に再配置、国内の街道の映像監視ポスト数を増加する方針も示しました。また連邦警察長官を交代させ、国家司法局長を務めるロジェリオ・ガロロ氏を後任に指名予定です。

 ジュングマン大臣はガロロ氏について「彼は犯罪と戦い、汚職と戦う。ペトロブラス汚職捜査は優先事項になるだろう」と強調しました。同相は、汚職と犯罪の撲滅は共に「秩序の保証と維持のため不可欠なもの」との認識を示しています。

麻薬供給容疑者をリオで拘束

 国内メディアによると、リオ・デ・ジャネイロ州文民警察武器・弾薬・爆発物特別部局は27日、パラグアイからブラジルの犯罪組織へ麻薬・武器を供給していたとみられるエルトン・レオネル・ルミク・ダ・シルバ容疑者(通称ガラン)をリオ市内で拘束しました。警察は、シルバが市内イパネマにあるスタジオで刺青を入れているところに踏み込み、拘束しました。シルバは初め、捜査員に偽の身分証明書を提示し逃れようとしましたが、捜査員は騙されませんでした。

 シルバの拘束容疑は、2016年6月、両国国境のパラグアイ側で起きた麻薬密売人の殺害に関与した疑いです。警察の調べでは、密売人を殺害後に密売人の縄張りの一部を獲得、サンパウロ州を拠点とするPCC(州都第一コマンド)、リオを拠点とするコマンド・ベルメーリョなどの主要な組織に、パラグアイから麻薬・武器を供給していました。またPCCのメンバーだった疑いも持たれています。

 シルバは以前当局に逮捕されたことがあり、ブラジルの刑務所に収監されていましたが、刑務所から逃亡、このためブラジル、パラグアイ両国警察から追われていました。

インドネシアがブラジル産牛肉に市場開放

 ブラジルメディアによると、インドネシアのアンディ・スライマン農相がジャカルタで、ブラジル農牧食糧供給省に、「インドネシア政府はブラジルに牛肉市場を開放するつもりだ」という考えを表明しました。

 ブラジル農牧供給省は、インドネシア市場は世界4位の2億6500万人の人口を抱え、この先牛肉消費が拡大する可能性を秘めていると強調、「インドネシアの牛肉消費量は世界の平均に比べてまだ小さいが、将来を考えれば重要な国である」としています。

 供給省は「スライマン農相が、政府は取り引きの詳細を詰めるため、近くブラジルへ使節を派遣すると語った」とも表明しました。

スタンドの4割が「薄いガソリン」販売

 地元メディアによると、サンパウロ石油労働者統一組合は、サンパウロ市内ガソリンスタンドの4割が規定以上のエタノールを混入した「薄いガソリン」を販売している、としています。「混ぜ物」をしているガソリンスタンドは、営業許可を持たないで販売している業者と見られます。

 同市内南部の通りで営業しているガソリンスタンドは平均価格より1リットル約30センターボ安い3.69レアルで販売しています。メディア関係者が今月初め、このスタンドで1リットル当たり3.74レアルでガソリンを購入、ノッタ・フィスカル(領収書)を要求しました。給油係は発行が禁じられている(2016年以降)手書きの領収証を渡したということです。

 スタッフはその後、このガソリンを石油労働者統一組合の研究所へ持ち込み、成分の分析を依頼、その結果、60%もエタノールを混ぜてあることが分かりました。この他の安売りガソリンスタンドも同じようなもので、エタノールの混合率が74%というスタンドもありました。

 ブラジルではガソリンとエタノールの混合油販売は普通ですが、ガソリン中のエタノールの混合率は27%までと決められています。これらのスタンドが売るガソリンは「エタノール混じりのガソリン」ではなく、「ガソリン混じりのエタノール」だったことになります。

世界8番になった風力発電容量

 アジェンシア・ブラジルは、世界風力会議の年次報告「2017年度世界風力統計」でブラジルはカナダを抜き、風力発電設備容量が世界で8番目の規模になったと報じています。風力発電設備容量は16年にイタリアを抜き世界9番目になっていました。

 現在ブラジル国内の設備容量は12.76GWで、カナダの12.39GWを上回っています。世界1位は188.23GWの中国で、2位は89.07GWの米国、3位は56.132GWのドイツ、以下、インド、スペイン、英国、フランスと続いています。風力発電は国内生産電力の8.3%を占めていますが、水力発電(全体の60.9%)とは比較になりません。一方、バイオマス発電の9.3%には接近してきました。

 風力で生産される電力は、昨年9月14日に北東部地方の消費電力の64%を占めました。ブラジル風力エネルギー協会では、ブラジルの風力発電の潜在力は500GWを超えると推定しています。北東部地方は、風力発電生産容量で国内の先頭に立ち、135カ所に施設があるリオグランデ・ド・ノルテ州風力発電量設備容量が3678.85MWに達しています。

 今後6年間に1.45GW以上の風力発電設備が増強される予定で、同協会では「1800万世帯が風力発電による電力供給を受けるようになる」と話しています。

リオ州境の監視活動強化

 国内メディアによると、ブラジル南東部エスピリト・サント州の治安当局は隣接するリオデジャネイロ州との州境で警察活動を強化します。この措置はリオ州公共保安に連邦政府が関与をするために採られる措置で、リオ州から犯罪者が同州へ流入するのを防ぐ目的です。同州の保安活動強化の方針は、公共保安局長名で発表されました。この他、リオ州と境を接するサンパウロ、ミナス・ジェライス、エスピリト・サント各州の州境管理も強化されます。

 エスピリト・サント州の州境活動強化は1日あたり130人の軍および文民警察官、20人の連邦道路警察官が参加します。公共保安局は現在、リオ州からエスピリト・サント州への犯罪者の移動は見られず、今回の措置は予防的なものと説明しています。

 今回の措置でエスピリト・サント州と隣接するリオ州州境198キロメートルが監視強化の対象になり、リオ州からエスピリト・サント州へ通じる街道8カ所で検問が行われます。監視活動は車両のほか、ヘリコプターやドローン(無人小型飛行機)も使用される予定です。

リオ州治安で軍の関与承認=連邦上院=

 国内メディアによると、連邦上院本会議でリオデジャネイロ州の公共保安部門に連邦政府が関与する大統領令が承認されました。これにより同大統領令は実行に移されます。同大統領令では、関与期間を12月31日までと限定しています。

 政府関与期間中は、東部軍のブラガ・ネット司令官が同州の公共保安局、軍・文民警察、消防および州の刑務所システムの指揮を執ります。ネット司令官は大統領指揮の下で公的秩序維持のため、必要に応じてリオ州に財政、技術、人材を要請することができます。

 同州では21日、昨年7月公布された「法と秩序の保証」による治安活動で、ジャペリ市の刑務所を軍と州刑務所管理局職員共同で禁止物品の捜索活動を行いました。同刑務所では今月18日被収容者の暴動が発生、被収容者3人が銃撃で負傷し、職員・被収容者ら18人が拘束されるという騒ぎが起きていました。

ブラジリアは女性の給与が男性上回る

 地元メディアによると、労働省は19日、「社会情報年次報告書」で首都ブラジリアの女性平均給与が男性を上回っていると発表しました。2007年から16年までを集計・分析したもので、ブラジリアの男性平均給与は5196.10レアル、女性の平均はそれよりも高い5261.80レアルでした。

 ブラジリアの労働市場は圧倒的に男性が多く、125万人の労働者うちの62%が男性で、女性は38%に過ぎません。男女間には大きな賃金格差(男高女低)が指摘され、労働省調査では、07年の女性平均給与は男性に比べて17%低く、10年後の16年時点でも女性の給与が15%低くなっています。

 そんな中でブラジリアの平均給与が男性を上回っている理由を労働省は、「ブラジリアは首都で官公庁が多く、そこに勤務する女性は給与が高く、高レベルの仕事をしている。官公庁勤務の女性がブラジリアの女性給与を引き上げている」としています。

 全国的に見ても公務員は880万人のうち59%を女性が占め、男性を上回っています。

テレビのシェアが縮小=広告市場=

 2017年はテレビ広告のシェアが縮小しました。英ロンドンに本拠を置く大手広告代理店グループのカンター・イボペ・メディアの調査によると、2017年の国内広告市場は総額1340億レアル(約4兆6900億円)で、そのうちテレビ広告は72.4%でした。16年は1290億レアルの総広告費のうち73.8%をテレビが占めていました。ブラジル・メディアが報じています。

 17年のテレビ広告シェアは縮小しましたが、金額では1%増加しています。16年のテレビ広告費は959億レアル、17年は970億レアル(約3兆3950億円)でした。970億レアルの7割強は有料テレビを除く一般テレビが占めています。有料テレビの広告費は対前年比7.6%増と一般テレビを大幅に上回る伸びを見せましたが、金額は一般テレビの4分の1にも満たない176億レアルでした。

 広告費のテレビのシェアは15年(69.7%)から16年(73.8%)にかけて拡大、17年(72.4%)になって縮小しました。18年には再びシェア拡大が見込まれています。理由を広告プロフェッショナル協会のエニオ・ベルジェイロ会長は「サッカー・ワールドカップ(W杯)の年は広告費が増加する」と説明しており、今年のテレビ広告シェア拡大はW杯効果を期待したものです。

 テレビに次いで大きな広告費を占めたのは新聞でした。新聞広告は16年比2%増の154億レアル(約5390億円)に上り、雑誌広告はほぼ前年並みの47億レアル(約1645億円)でした。新聞や雑誌などの印刷媒体の広告費は対前年比1%増の202億レアル(約7070億円)でした。

最も大きく伸びたのは屋外や車内広告

 同広告代理店によると、昨年、広告費の伸びが最も大きかったのはアウト・オブ・ホームメディア(建物の屋上や壁などを利用した屋外広告、電車やバスの車内及び車体、駅や空港などを利用した交通広告)で、昨年1年間の広告費は39億レアル(約1365億円)でした。金額は少ないのですが、対前年比で38.3%増と大幅に伸びています。空港内の広告掲出増が寄与したものです。ベルジェイロ会長は、「街頭に設置されている時刻・気温計やバス停留所などの屋外広告にも関心が高まっている」と話しています。