中南米の最新情報

NPOチャレンジブラジルが、ブラジルを中心に中南米のニュースをお届けします。

経済状況、家庭の4割が改善

 アジェンシア・ブラジルの報道によると、コンサルティング会社デロイトのクリスマス調査で家庭の40.3%が「経済状況が昨年より改善した」と回答しました。調査は12月1~8日に渡って1000人を対象に行われました。10月の調査では、改善されたと回答したのは37%でした。

 同調査では、クリスマスプレゼント購入数は平均4.6点で、1点の平均支出額は81.7レアルだったとしています。1家庭の支出総額は405.20レアルで、10月より10%増です。

 デロイトの関係者は、「ブラジル人は、クリスマスの数カ月前に予想していた額を上回る支出をする傾向にある」と述べ、10月の調査時より多くのプレゼントを買う意向を示したと指摘しています。


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 今年もブラジルに関心を持ち、ニュースレターに興味を示していただき感謝申し上げます。今年は本日が最終で、来年は4日頃から再開します。それでは良い年をお迎えください。

非識字率が7.2%に低下

 ニュースサイトG1によると、ブラジル地理統計院が21日、2016年のブラジルの非識字率は7.2%と発表しました。全国家庭サンプル継続調査で分かったもので、15年度調査では、15歳以上で読み書きができないのは8%でした。

 調査では非識字者は1180万人と推定され、60歳以上では20.4%います。国家教育計画では、15年には非識字率を6.5%まで下げるのが目標でしたが、達成までの道のりは遠そうです。ただ、非識字率は12年の8.7%から低下傾向にはあります。

 調査では、黒人系と褐色系で非識字率が高いことが指摘されています。白人系の非識字率は4.2%ですが、黒人系と褐色系は9.9%を示しています。地理統計院は「肌の色や人種で教育の違いが際立っている。教育を受けていない白人系は7.3%だが、黒人系や褐色系は14.7%だ。白人系の22%は大卒者で、黒人系や褐色系は8.8%に過ぎない」と指摘しています。

給与支払い遅延で市民生活悪化

 国内メディアによると、リオグランデ・ド・ノルテ(北大河)州では、公務員への給与支払い遅延が23カ月間続き、業務に支障が出始めています。19日なって警察官は職務を十分に果たさなくなり犯罪が増加、医療施設の専門家も不足し市民の医療に支障を来しています。

 軍警察官は19日から州都ナタルおよび同都市圏、地方都市でパトロールを減らし、文民警察官も20日から現行犯を除き、捜査や逮捕を中止しています。保健部門の公務員もストライキを行い、同州の主要な病院では専門家が不足、保健医療サービスが十分行えなくなっています。看護婦不足で手術センターの業務は停止してしまいました。20日深夜にはナタルで5件強盗が発生し商品が奪われたほか、18台の車両が盗まれました。銀行支店の現金自動預払機爆破未遂事件も3件発生しています。

 同州のロビンソン・ファリア知事は19日ブラジリアを訪れ、予定されている国から同州への救援資金の送金を要請しました。また20日には連邦政府に、同州内の治安活動のための国家治安部隊増員と国軍の支援を要請しています。

テメル政権の高い評価は6%

 国内メディアによると、ブラジル世論調査・統計機関が20日、テメル政権の評価に関する世論調査の結果として、「悪い、最悪」と評価したのが74%、「良い、最高」と評価したのはわずか6%と発表しました。同調査は12月7~10日に国内127市の計2000人を対象に行われました。

 テメル政権に対する「悪い、最悪」の評価は3月には55%、7月が70%、9月には77%で、12月はいくらか下がっていました。「良い、最高」は3月が10%、7月が5%、9月が3%で、今回はいくらか好転したことになります。「普通」としたのは19%でした。

 大統領の信頼度の質問では、信頼すると答えたのは9%、信頼しないと答えたのは90%でした。現政権が前政権のジルマ政権より良いと答えた割合は10%、同じは30%、悪いは59%でした。低評価だったのは税金(90%)、保健医療(88%)、公共保安(86%)の分野です。

アントニオ猪木議員がサンパウロ市で講演

 ブラジル訪問中のアントニオ猪木参議院議員(74、神奈川)がサンパウロ市東洋街の文化協会小講堂で、「元気ですか!元気があれば何でもできる!」と題して講演しました。13歳のときブラジル移住した猪木議員は、最初は農場に入り、その後サンパウロ市に出てきて力道山にスカウトされ、プロレスのリングへ上がりました。そのときの気持ちをサンパウロ新聞に「ブラジルで遠のいたプロレスへの夢が、ぐっと近づいた」と語っています。

 講演会には200人が来場しました。文協の呉屋春美会長は「ブラジル移民の中で、最も有名な日本人の一人。来年の移民110周年の前夜祭を始め、在日ブラジル大使館が主催するイベントにも招待され、ブラジルと日本の懸け橋として活躍されている」と紹介し、休日返上で講演したことに謝辞を述べました。

  講演で猪木議員は、「可愛がってくれた77歳でブラジルへ渡った祖父。恩師の力道山、そして異種格闘技戦で戦ったボクシング界のレジェンド、モハメド・アリ」の3人の名前を挙げ、人生で影響を受けた人物だと語りました。

 89年に政治家に当選してからの仕事についても触れ、ソビエト連邦から選手を招聘(しょうへい)してのスポーツ交流、複数回キューバも訪問しフィデル・カストロ国家評議会議長との面談、「イラク在留邦人人質解放」では「政治家として命を張った」と語りました。カストロ前議長からはカリブ海に浮かぶ無人島「友人、猪木の島」を贈られた逸話も紹介、同島には海賊船が残した宝があるという伝説も披露していました。

ダイソー・ブラジルがショッピングセンターに開店

 日本製輸入雑貨販売店ダイソー・ブラジル(大野恵介社長)の33番目の新店舗がサンパウロ市の大通りにあるショッピングセンターに開店しました。同社はブラジルへ進出して5年、サンパウロ圏を中心に33店舗(社員500人)を展開する迄に成長しました。

 進出当初の3年間は輸入許可でアンビザ(衛生監督庁)やインメトロ(度量衡監督庁)、税関といった役所とのやりとりに奔走、担当重役は「許認可を取得するには、諦めず一つ一つに粘り強く対応する根気が必要だった」と語ります。特に「できること」と「できないこと」の早い見極めが大切だとも指摘しました。

 「ブラジルに生活雑貨は安くて良い物はない」と思われていた常識をダイソーは、日本製品や中国製品を比較的安価で販売することで覆しました。新しいビジネスモデルでブラジルに挑戦したわけです。

 過去に、数年間サンパウロ事務所を開設しながら、ブラジルでの輸入許可や販売許可を取得できず撤退していった日本企業もありました。そんな中で成功したダイソーは、ブラジルを研究して進出した成果と言えそうです。ブラジル外国企業監督庁は自国業者保護のために業種によって輸入を厳しく制限することなどを、あらかじめ知っておけば慌てることもありません

 これからもダイソーは、様々な困難に遭遇することでしょう。日本の進出企業には多発する労働問題に対処するため契約顧問弁護士が20人もいる企業もあります。この費用が経営を圧迫することもあるそうです。ダイソーは今後、ブラジルにおける日本企業の失敗しない成功事例の一つに数えられそうです。

外国人のブラジル移住者が減少

 地元メディアによると、労働省とブラジリア大による国際移住観測結果が13日発表され、2016年は9万4000人以上の外国人がブラジルに移り住んだことが判りました。海外からの移住者が最も多かった14年には12万2000人もいましたので23%の減少です。

 観測したブラジリア大は減少について、「国が直面している経済および政治危機の結果」と指摘しています。好調な経済が外国人を引きつけた10年から14年の時期とは対照的な数字になっています。法務省によると、16年に登録された外国人のうち34%(3万1000人)が永住権を取得、2年以上の滞在許可で入国している64%(5万9800人)は、業務による短期滞在者です。移民の主流は男性で67%(44万6000人)を占めていますが、中国人は51%が女性です。

世界で3番目の刑務所収容者数

 法務省国家刑務所情報調査によると、2016年6月時の成人向け刑事施設における収容者数が72万6700人で、収容者数が世界で3番目に多い国となりました。このうち4割は未決の容疑者です。エスタード紙の報道です。

 収容者の増加に収容枠の増加が間に合わず、過密収容を引き起こしています。状況改善には、収容枠を倍に増やすなどの対策が必要です。収容枠は14年の37万6000をピークに減少し、16年6月時点では36万8000で、現在は定員の197%が収容されていることになります。最も過密収容なのはアマゾナス州の484%、以下セアラー州(309%)、ペルナンブコ州(301%)、パラナ州(282%)と続いています。

 収容者が多いのはサンパウロ州の24万人、ミナス・ジェライス州の7万人、パラナ州の5万人で、最も少ないのは北部ロライマ州の2300人です。ブラジルより収容人口が多い国は米国の約200万人、中国160万人ですが、両国とも減少しています。

 収容者は麻薬関連が増加しています。15年は26%でしたが、16年6月時点では28%になりました。特に女性収容者に麻薬関連多くなっています。

家事をする男性は女性の半分

 ブラジル地理統計院の発表によると、2016年に家事を行った女性は90%で、男性は72%でした。家事に費やした時間は女性が週21時間で、男性は11時間と女性の半分でした。ネットメディアの報道です。

 この調査は全国家庭サンプル調査の一部として行われたもので、有給の仕事とは別の家事などについて行われました。調査では14歳以上の国民の81%が何らかの家事労働を行っています。有職女性でも92%は家事を行っています。

 家事の主なものは男女とも食事に関するものが多く、このほか女性は掃除・洗濯、男性は家の周りの簡単な修理や維持のための管理でした。

クリスマスの物価予想、調査史上初の下落

 地元メディアによると、全国商業連合は、クリスマスに向けた各種商品の小売価格が平均で1.1%、昨年より安いと予想しています。小売価格の下落予想は、2009年に始まった同連合のクリスマス商品調査では初めてのことです。16年のクリスマス時期には小売物価は9.8%上昇、15年にはそれよりも大きい10.9%上昇していました。

 全国商業連合は昨年比4.3%増としていた小売業界の売上予想を同4.8%増の347億レアル(約1兆2145億円)に拡大し、クリスマス時期に創出される正規雇用枠を7万3100人分から7万3800人分へと増大させています。同連合のチーフエコノミストは、「低いインフレ率、金利引き下げ、労働市場の改善の継続が今年の年末時期の販売予想を明るいものにしている」と説明しています。