中南米の最新情報

NPOチャレンジブラジルが、ブラジルを中心に中南米のニュースをお届けします。

商業者の景況感4カ月ぶりに改善

 地元メディアによると、商業経営者の景気に対する見方がわずかに好転しました。商業者の景況感を表す全国商業連合の指数、商業経営者信頼感指数が9月から10月にかけて0.3%上昇し、16年10月の水準に比べて10.3%高い107.2ポイントを示しました。

 商業連合は「商業部門は今年年末の業績は、過去2年間よりも良くなると楽観している。経済活動及び家計消費が徐々に回復、商業売り上げ伸び始めている」と説明しています。今後6カ月間にブラジル経済が改善するとの見方を示した商業者は、今年9月調査時の78.4%を上回り、16年10月に対して1.1%増の80.7%に達しています。

サンパウロ市が公金5500万ドル取り戻す

 地元メディアによると、大手民間銀行の一つ、サフラ銀行は1日、現連邦下院議員で元サンパウロ市長のパウロ・マルフ氏(PP)が横領したサンパウロ市の公金を受け取ったことで法的責任を問われるないようサンパウロ市役所に1000万ドルを支払うことでサンパウロ州検察当局と合意しました。

 今回の合意により、サンパウロ市が取り戻した公金は、ドイツ銀行から2000万ドル、米シティバンクから1500万ドル、スイス・UBSからの1000万ドルと合わせて5500万ドルになります。

 マルフ下議は1969~71年と93~97年の合計6年間にサンパウロ市長を務め、市長時代に同市内の道路、トンネル工事費用を横領したとされています。連邦最高裁判所は今年5月、マネーロンダリング罪で有罪とし、議員資格喪失と130万レアル(約4500万円)を超える罰金、7年9カ月の禁錮刑を言い渡しました。マルフ氏は収監されず、今回の判決を不服として上訴しています。マルフ下議の事務所は、この件に関してコメントしないと表明し、サンパウロ市役所もコメントしていません。

期待インフレ率が6.4%に低下

 地元メディアによると、消費者が先行き12カ月の物価上昇をどう見かを表す消費者期待インフレ率は、2017年9月から10月にかけて0.3ポイント低下し6.4%になりました。対前年同期比で2.7ポイント低くなっています。

 ジェツリオ・バルガス財団ブラジル経済研究所のエコノミストは「先月行われた分析と合わせ、消費者期待インフレ率は再び下がった。累積された実際のインフレ率と市場が期待しているインフレ率が低下していることの表れで、想定されていた」としています。

16年の強盗殺人件は 7年前から5割増加

 30日に発表された第11回ブラジル公共保安フォーラム年次報告書によれば、ブラジル国内で昨年記録された強盗殺人件は2514件で、1593件だった10年と比べ57.8%も増加しました。アジェンシア・ブラジルなど国内メディアが伝えています。

 データは国内各州の公共保安当局の統計から作成されました。データを見ると、16年には19州で強盗殺人が増加しています。増加率が高いのはロンドニア州の124%、他州はトカンチンス州が73%、リオデジャネイロ州が70%ほど増加しています。一方、ロライマ州は45%、パライバ州は28%、アマパー州は23%それぞれ減少しています。

 件数が多かった州はサンパウロ州で352件(15年は645件)、リオデジャネイロ州が225件(同131件)、バイーア州が211件(同207件)、パラー州が218件(同185件)、ゴイアス、ペルナンブコ、リオグランデ・ド・スル各州が160件以上となっています。

 国内における強盗殺人は10年から毎年増加しており、16年までの累計は1万3800件にもなっています。各メディアは増加について、「経済危機が各州の犯罪抑止政策への投資を縮小し、警察のパトロールや捜査に影響を与えた」とする専門家の見方を紹介しています。

空き店舗の侵入者対策に路上生活者を利用

 国内メディアによると、2年半に及ぶ不況がサンパウロ市の不動産市場を凍り付かせています。1年前からサンパウロ市内の商業地区には「貸します」「売ります」という張り紙を貼った空き店舗が目立ち始めました。それらの物件の多くは現在も空き店舗のままで、状態はさらに悪化しつつあります。

 空き物件は長期間入居者がいないためメンテナンスが行われず、落書、割れたガラスが目につき、建物の劣化は一目瞭然です。空き物件のオーナーの中には不法侵入を防ぐため、路上生活者の建物使用を認める人もいます。

 市内の商業エリアで大通りに面し、ビュッフェとして営業していた面積400平方メートルの物件は1年前に空き店舗になり、同物件の所有者がすぐに家賃1万5000レアル(約52万5000円)で入居者を募集しましたが、借り手がつかず、不法侵入者によって建物は荒らされてしまいました。損傷が拡大しないようにと所有者は、建物を板で取り囲み、路上生活者がそこで寝泊まりすることを容認しました。所有者は「路上生活者があそこにいさせることで、私を守ることになる」と話しています。同様の事例はこの件だけにかぎらず、結構多く見られます。

 サンパウロ不動産・マンション管理者協会の推計では、サンパウロ市内の路面店舗物件全体の30~35%が空き店舗になっています。同協会のルベンス・カルモ・エリアス・フィリョ会長は「この空き店舗率は通常期、経済が拡大している時の3倍だ」と指摘します。サンパウロ市役所の地域支所局は「建物の責任者はそれを清潔に保つよう法律で義務付けられており、違反した者は1平方メートルにつき4レアルの過料が科される」としています。

石川理事長(サンタ・クルス病院)に名誉功労章

 サンタ・クルス病院の石川レナト理事長が「ブラジルの医療業界に貢献し、同業界の進歩・発展に重要な役割を果たした」として、サンパウロ州議会から名誉功労章(Honra ao Mérito Legislativo do Estado de São Paulo)を授与されました。州議会で行われた授与式には、野口泰在サンパウロ総領事、松尾治文協副会長ら各日系団体代表など約200人が出席し、理事長夫妻を祝福しました。

 石川理事長は、理事長就任後、病院の財政の立て直しを「5S」運動といったトヨタ生産方式を同病院に導入し実践、筑波大学とも提携するなど前向きな経営を行っています。こうしたことが評価され、今回の表彰になりました。

 サンタ・クルス病院は日系の医療組織同仁会をもとに設立された病院で、1926年に正式に医療機関としてサンパウロ市から認可され、1939年に現在の場所に病院の建物が完成しました。第2次世界大戦中は政府に接収されたりしましたが、1944年に解除になりました。しかし経営権はブラジル人が握り、日系人は経営参加していませんでした。1990年になり経営に日系人が参加するようになり、日系の病院として再出発、今日に至っています。

リオ市で暴力犯罪が増加

 フォーリャ紙の報道によると、リオデジャネイロ市では経済危機や暴力犯罪に悩まされる多くの市民が、夜間の外出を控えるといった対策を取り始めました。市民の行動の変化が、習慣や町の文化に影響を与えています。

 同市北部に夫婦で居住している建築家のロジェリオ・メンデス氏(41)は、武装した強盗に4回も車を奪われました。事件に遭ってから夜間のバール(コーヒーショップ)やレストラン行きを減らしました。「ある特定の危険な場所には、車では行かない。困ったことに、運転中や駐車する時でも危険と隣り合わせなことだ。以前はチジュッカに出かけていたが、もう行くのは止めた。時々南部に行くこともあるが、タクシーを呼んでいる」といい、出かける代わりに友人を自宅に招いています。「タクシー代が高意から、最近は頻繁に外出することもなくなった」と語っています。

飲食業界は大打撃
 市民の夜間外出見合わせで、バールやレストランの売り上げが減少しています。ここ数週間に貧民街で起きた抗争事件のあった場所に限らず、他地域の市民のナイトライフにも影響を及ぼしています。リオデジャネイロ・バール・レストラン組合の調査によると、貧民街のロシーニャ地区近郊のレブロンやガーベア、サン・コンラドなどのバール、レストランは、先月末の抗争で集客が60%も低下しました。

 当時は、ロックインリオが開催されていたため、業界は売り上げの30%増を期待していました。ところが、ペドロ・デ・ラマレ組合長は「ロシーニャ地区に近い地域では期待が完全に裏切られ、売り上げは半分だった」と肩を落としていました。リオ市バール・レストラン協会のロベルト・マシエル会長は当時の様子について、「悲惨だった。警察のヘリやパトカーが終始行き来していた。テレビでは一日中事件を報道しているし、パニックだった」と振り返りました。

 バール・レストラン業界の暴力被害は、抗争事件が起きた日やその場所近くに限りません。同協会によると、少なくとも昨年8月にオリンピックが終了して以来、様々な場所で影響を受けています。

 バール・レストラン組合によると、今年1月から6月までに売り上げが40%も減少し、100店舗以上が倒産しているといいます。サンタ・テレーザ区などの中心街、チジュッカ区やビラ・イザベル区の北部も犯罪の増加に苦しみ、ビラ・イザベル区の伝統的なサンバ通りとして有名な28・デ・セテンブロ大通りだけでも、最近数カ月間で68店舗が倒産しています。

ゴイアス州の火災で広大な面積を消失

 グローボ紙の報道によると、ゴイアス州アルト・パライーゾ市のシャパーダ・ドス・ベアデイロス公園(広さ24万ヘクタール)で火災が発生し1週間が経過、17日までに4万8900ヘクタールを消失しました。消失面積はサンパウロ市の3分の1に相当します。24日には、さらに1万4000ヘクタールが消失しました。

 鎮火しない火災に軍警察は、ヘリコプターと飛行機を消火作業に加わえ、航空パトロール司令部から将校6人も現地に派遣しました。軍警察は航空機でボランティアを運び、彼らが火災状況を監視すると説明しています。ヘリコプターは540リットルの水を輸送する能力があり、消火作業にも当たります。作業チームは30日まで滞在の予定です。

 ブラジリア動物園の獣医であるノルベルト園長と同公園の3人の専門家が23日、消失した地域の動物を保護するため同公園に派遣されました。3人の専門家は獣医2人と生物学者1人のチームで、煙で中毒症状を起こしたり火傷している動物の治療に当たります。

軍警が貧民街で観光客を誤射

 リオデジャネイロ市の貧民街「ロシーニャ」地区で、観光客のスペイン人マリア・エスペランサ・ルイスさんが23日、銃で撃たれて死亡しました。麻薬犯取締りで警察が捜査中で同地区への一般人の出入りは検問でブロックされていました。しかし、マリアさんを案内していたタクシー運転手が検問に気付かず侵入したため、犯罪者に間違われ狙撃されたという。地元エスタード紙が報じています。

 軍警察は公式には、「暗いウィンドウフィルムを張った車両が検問を突破したため、警察官が発砲してマリアさんが亡くなった」と発表しています。マリアさんは首に銃弾を受けており、ライフルで狙撃されていました。

 今回の事件でリオ市警のカルドーゾ署長は「運転手が検問を確認しなかったため事故が起きた。被害者の姉妹も車内にいたが、やはり検問に気付かなかったと話している」と述べ、軍警察が発砲したライフル3丁を押収しています。同所長は続けて、「観光客がリオに到着して殺害されるなどあってはならないことだ。我々は、発砲した臆病者を特定して逮捕する。検問が行なわれたかどうか、はっきりとわかる検問だったかどうかも調査する」と述べました。

 ファベイラ観光の責任者であるガイドも、警察の手入れに関して知らなかったという。リオ市南部ロシーニャ貧民街の観光案内をする観光ガイドは、「同地区内のことを知らない外部の地区のガイドがマリアさんを案内していた」と語っています。

 貧民街ロシーニャの観光ガイドの一つ「ファベーラ・ウォーキング・ツアー」社のコーディネーターは、「我々は地元のガイドと共に動き、ガイド同士が情報を交換している。毎日、状況を確認しなければならない。我々はここに住んでいるので、大丈夫かどうかは確認できる。この仕事を始めて3年になるが、一度も問題が起きたことはない。常に気をつけ注意している。危険な場所も知っている。観光客は、事件が起こりそうな場所には連れて行かない。もちろん、警察から観光しないようにと言われたら行かない。地元のガイドは、車を止める警察の命令を無視することはあり得ない。多分そのガイドは、事情を理解していなかったのかもしれない」と指摘しました。

ブラジル事業50%売却へ=中国・奇瑞汽車=

 地元メディアによると、中国の自動車メーカー、奇瑞汽車(Chery)は16日、サンパウロ州ジャカレイ市の工場で乗用車を生産する同社ブラジル事業部門の株式50%を中国市場で売りに出しました。同社ブラジル事業担当者は「そうした決定は正式に通知されていない」とコメントを拒否しました。

 奇瑞汽車は数カ月前、ゴイアス州で韓国・現代自動車(Hyundai)を生産するブラジル企業、カオアと事業売却について交渉を行いましたが、話しはまとまりませんでした。しかし、市場筋は両者の交渉再開はあり得るとしています。

 奇瑞汽車ジャカレイ工場は年間15万台の生産能力を持ち、2014年に生産を開始しました。同社初の国外生産拠点、また中国自動車メーカーのブラジル国内における自動車生産工場として注目されていました。同工場は現在、9.2%の賃上げ求める労働者と働裁判調停が行われましたが、労使合意に至らず、労働側がストライキに突入、操業は停止状態です。