中南米の最新情報

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テメル大統領を「支持しない」77%

 地元メディアが28日報じたところによると、ブラジル世論調査・統計機関が行なった調査でミシェル・テメル大統領(PMDB)を「悪い」、「最悪」と評価した人が77%に達し、7月調査の70%からさらに7%悪化しました。「良い」、「最良」と評価した人は、僅か3%でした(7月は5%)。「普通」と評価したのは16%でした(7月は21%)。

 調査は9月15日から20日にかけ、126都市で2000人を対象に行なわれました。今回の大統領に対する評価は1986年に調査開始以来、最悪です。2番目に最悪な大統領も、7月調査で不支持が70%を記録したテメル大統領でした。数字的には2015年12月、2期目のジルマ元大統領と同じです。

 この調査は、テメル大統領を連邦検察庁が起訴(2度目の)した次の日に実施されています。そのため起訴が、調査結果に反映していると見られています。

 今回の調査で、テメル政権の評価は4回連続で悪化していることが判りました。昨年9月の調査では「悪い」、「最悪」は39%でした。これが12月には46%、今年3月には55%、そして7月には70%に達してしまいました。

バーチャル犯罪が増加

 グローボ紙によると、ミナス・ジェライス州ではソーシャルネットワークでプライバシーを侵害する「バーチャル脅迫」が増加しています。今年1~8月間、昨年比で12%も増加しています。脅迫行為に使うものは、犯罪者が被害者から受け取った写真やビデオも含まれています。悪質なケースは、警察がバーチャルレイプとして摘発することもあるとしています。

 19歳の脅迫者(男性)はネット上に偽のプロファイルを掲載、信頼した5人の女性から写真を入手し、それを基に彼女達を脅迫していました。脅迫された17歳の女性は「もし自分が写真を送信しなければ、ワッツアップで彼がばらまくこともなかったし、フェイスブックに掲載され自分が誰なのかを特定されることもなかった」と悔やんでいます。

 現在、この種の脅迫行為はミナス・ジェライス州全体で起きています。こうした犯罪が今年8月までに5400件以上報告され、昨年同時期比で600件も増えています。この脅迫行為の大半は、入手した親密な写真を武器にしています。例えば入手した「ヌード写真」を材料に、被害者にポルノビデオや写真撮影、バーチャルセックスを強要しています。

 民事警察詐欺捜査課によると、「脅迫に応じなかったベロオリゾンテ市のカップルの親密なビデオを公表しない代わりに1万レアルを要求してきた。脅迫を受け入れ450レアル支払ったが、さらに写真を公表しない代わりに1000レアル要求された被害者もいる。犯罪者の要求はどんどんエスカレートする」と述べ、警察は親密な写真やビデオをソーシャルネットワーク上にオープンにしないよう警告し、脅迫されたらすぐに届け出るよう助言しています。

ネベス上議の職務停止が決定

 国内メディアによれば、アエシオ・ネベス上院議員(PSDB=民主社会党)の勾留と議員職務停止を求める連邦検察庁請求の審理を行っていた連邦最高裁判所は26日、判事5人による投票の結果、勾留請求は却下、議員職務停止は決定しました。同審理では議員職務停止のほか、夜間の外出禁止、他捜査対象者との接触禁止、パスポート提出が命じられています。

 検察庁の請求は食肉加工大手JBSおよびその親会社J&F役員らによる証言などに基づき、ロドリゴ・ジャノー前検察庁長官によって行われていました。検察が告発したのは、同上議がJ&F社などから200万レアルの賄賂を受け取り、国営石油ペトロブラスにからむ汚職捜査を妨害したという二つの容疑です。

 同件ではネベス上議の親族も捜査対象になっています。同上議は賄賂と指摘された資金は個人的に借りたものだと主張し、疑いを否定しています。

空港での麻薬押収量35%増加

 地元メディアによると、麻薬取締り当局はグアルーリョス国際空港(サンパウロ州)で1~8月間に1552キログラムの麻薬を押収し、232人を逮捕しました。押収量は前年同期比で35%増になっています。昨年同期は1150キログラムの押収でした。

 同空港では先週末だけで5人が麻薬密輸の現行犯で逮捕されています。捕まった5人の中にスペイン・バルセロナからブラジルへ到着
した25歳のブラジル人女性がおり、3キログラムのメタンフェタミン覚せい剤)を荷物の中に隠し持っていました。女は同空港内の連邦警察事務所に連行されました。警察事務所に着いたとき女は、ガラス扉を破り逃亡を図ったため、周囲は一時騒然となりました。

 連邦警察官は、先週末に捕まった5人のうち3人が30歳以下だったことから、運び屋の年齢に関心を示しています。捜査官は「運び屋として売人らに最も利用される年齢層は20~35歳だ。経済的理由から麻薬の運搬を引き受ける率が高そうだ」と話しています。

 また、コカインを隠し持って出発しようとする乗客の行き先は主に欧州、アジア、中東となっています。

夏時間、省エネ効果なしで実施再検討

 ブラジルでは南部、南東部、中西部で毎年10月から翌年2月まで「夏時間」が実施されますが、これまでの研究で省エネ効果はないという研究結果が示され、鉱山エネルギー省は夏時間の実施について問題提起をしています。連邦政府はこれを受け、夏時間の実施を継続するかどうかを判断するため、SNSでの投票実施を計画しています。国内メディアが報道しています。

 夏時間再検討の動きにバーやレストランなどは夏時間の継続を訴えるキャンペーンを始める予定です。ブラジル・バー・レストラン協会サンパウロ州支部マリカト代表は、「夏時間は営業のプラスになっている。バーの客足は夏に20%増加し、レストランも10%増える。今は、市民の大多数が夜間外出を避ける傾向にあり、時間を早めることで安心感を持つ人が増え、利用者が増加する」と語っています。

 夏時間を実施するかどうかは大統領が決定します。賛成派と反対派との間で論争が起きると予想する連邦政府は、このテーマについてソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)で投票することを検討しています。仮に今年も例年通り実施されれば、夏時間は10月15日から来年2月17日まで適用されます。

女性に多い人身取引被害

 国内メディアによると、リオデジャネイロ市で先ごろ開催された人身取引や移民の密売に関する国際セミナーで、2014年から16年までに確認された性的搾取や奴隷労働を目的とした人身取引被害は女性が男性を大きく上回ったと報告されました。このデータは、法務公共保安省女性政策局への通報を基に集計したものです。

 性的搾取を目的とした人身取引は被害者488人のうち317人が女性で、男性は5人のみでした。奴隷労働に関しては同期間に257件の通報を受けており、うち123人が女性で男性は52人でした。

 保健省によると、被害者のうち約50%が10~29歳の年齢層です。人権局は「0~17歳の乳幼児・青少年が人身取引の犠牲になっている」と指摘しています。同期間の被害者413人のうちこの年齢層は216人でした。また、14年から16年の期間に報告された408人の人身取引被害者のうち、全体の75%が女性でした。

グアルーリョス国際空港への連絡鉄道が来年開業

 サンパウロ州のジェラルド・アルキミン知事(PSDB)は20日、ブラジルの主要な空の玄関口であるグアルーリョス国際空港(サンパウロ州)とサンパウロ市内の中心部を結ぶ近郊都市鉄道13号線を2018年3月に開業すると発表しました。05年開業が予定されていた同線はこれまでに4回も延期されており、今回の発表も、来年3月に必ず開業するという確定したものではないようです。

 近郊都市鉄道によると、サンパウロ市内のルス駅とグアルーリョス国際空港を結ぶ急行電車の運賃は5~10レアルで、所要時間は35分です。ただ、本数は非常に少なく、空港発は午前8時、同10時、正午、午後10時の4本のみ。ルス駅発も午前9時、同11時、午後1時、同9時の4本のみの予定です。

公教育への柔道導入で指導者7人を招へい

 在ブラジル日本国大使館によると、日本政府は「スポーツ・フォー・トゥモロー」の一環でブラジル公教育への「柔道」導入計画に取り組んでいます。8日から1カ月間、ブラジルから柔道指導者7人を招き、筑波大学を中心に柔道研修「柔道の学校体育導入支援」を既に始めました。

 同計画は、2016年10月のテメル大統領来日の際、日本の文部科学省とブラジル・スポーツ省が「リオ2016から東京2020」への継承を念頭にスポーツ・体育教育分野での協力覚書を締結したのが始まりです。日本政府はブラジルでも広く普及している「柔道」の人間教育の側面に着目、公教育へ柔道を導入する支援をすることにしました。

 今回、初の取り組みとして日本国内の関係機関(外務省、スポーツ庁筑波大学講道館)が協力し、ブラジルから柔道指導者7人を招き、学校体育分野における柔道の講義及び実技等の研修を実施しています。

海水から麻薬の残留物質

 地元メディアの報道によると、サンパウロ州海岸地域で行われたサンパウロ連邦大学海洋科学部の調査で、海水から医薬品やコカインなどの違法薬物の残留物質が検出されました。調査は、サントス近郊海岸のプライア・グランデからサンビセンテ間の環境保護地区で海水をサンプリングして行われました。調査結果は、さきごろ開催された南米環境化学技術学会で報告されました。調査したカミロ・セアブラ博士は、「残留物は人間の尿から排出されたと考えられ、この地域の海洋生物に影響を及ぼしている可能性がある」と語っています。

 調査では同地域の海水中のマイクロプラスチックの存在も明らかにされました。マイクロプラスチックは大きさ5mm以下の微細なプラスチックで、元々は海岸や河川に廃棄されたプラスチックの断片です。マイクロプラスチックは、ウミガメの怪我や死亡の主要な原因とされています。オーストラリアのクイーンズランド大学が行なった国際的な研究でも、世界中のアオウミガメの半数が海洋ゴミを飲み込んでいると推定しており、アオウミガメの生死に大きく影響していると見ています。

コーセーがブラジル市場に進出

 化粧品メーカー大手のコーセー(小林一俊社長、本社=東京都)は、ヘアケアブランド「スティーブンノル ニューヨーク」を今年8月からブラジル法人コーセー・ブラジルを通して販売を開始し、初めてブラジル化粧品市場へ進出しました。商品はサンパウロリオデジャネイロを中心に高級ヘアサロンや高級化粧品専門店で取り扱われます。

 コーセーはブラジル人女性について、「ストレートパーマやヘアカラーを行っている人が多く、ダメージヘアやカラーヘア対応の商品に高い関心があるようだ。こうしたブラジル市場の特徴を加味して、まずは当地の女性の関心が高い髪質や髪の悩みに対応する商品の導入を考えた。日本国内で2015年から製造・販売しているダメージヘアをケアするメインアイテムの中から、シャンプー、コンディショナーなどのインバス(浴室内で使う)商品や、ヘアオイルなどのアウトバス(浴室の外で使う)商品など「Made in Japan」の高品質なヘアケア商品を揃えた」としています。

 ブラジルで販売されるのは「スティーブンノル ニューヨーク」ブランドの15品目15品種で、価格は99~240レアル(約2800円~6700円)です。