中南米の最新情報

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在米ブラジル人、米国社会へ速い同化

 米国政府のデータに基づき2人のブラジル人研究者が実施した「米国のブラジル人コミュニティーの同国への同化」調査で、他国からの移住者より同化が速いことが分かりました。フォーリャ紙が報道しています。

 ブラジル外務省は米国に、130万人のブラジル人が居住していると推定しています。居住者の失業率は5%と低く、年間平均所得は5万5463ドル(約600万円)で、他国からの移住者だけでなく米国人と比較しても高い収入です。データは2014年のもので、米国勢調査のコミュニティー調査から集計したものです。

 この他に、次のような調査結果も示されています。

 在米ブラジル人の教育レベルは中等教育修了者は46%(全移住者の平均は35%)、高等教育修了者は30%(同23%)で、教育履修は同国の全移住者平均よりも高くなっています。労働参加もブラジル人は71%で、米国人の63%を上回り、ブラジル人の大半は民間企業の従業員(69%)ながら自営業者も25%と全移住者(12%)や米国人(9%)を上回っています。

 研究者のカストロ・エ・リマ氏は「ブラジル人が労働市場に同化しているとはいえ、社会的または政治的な分野には反映されていない。最近になってブラジル人の市議や市長への立候補者も現れ始め、政治的な同化への第一歩を踏み出しつつある。これは移住の歴史が浅いから当然だ」と述べています。

 在米ブラジル人の63%はフロリダ、カリフォルニア、マサチューセッツ、ニューヨークとニュージャージーの5州に居住しています。年齢層は30~44歳が39%を占め、45~59歳が26%になっています。

児童ポルノ所持・製造、性的虐待で27人拘束

 国内メディアによると、連邦警察は先ごろ350人の捜査官を動員、国内14州の計51市で児童の性的搾取や児童ポルノ所有の疑いで強制捜査を実行、3件の予防勾留令状と71件の捜索押収令状を執行し27人を現行犯で拘束しました。強制捜査では、児童ポルノの画像・動画等の共有や所持、製造、性的虐待の関与を中心に調べを進めています。

 同捜査は、世界各国の小児性愛者が「出会いの場」として利用しているロシアのインターネットサイトを監視して得られた情報を元に行われたもので、2013年の強制捜査では30人が同容疑で拘束されています。このサイトからは児童ポルノ所有のブラジル人、外国人が特定され、実際に起こっている性的虐待も特定されました。警察は、15人の被害者を確認しています。

 捜査責任者によれば、拘束された容疑者の中には、学生、教師、医師や公務員もいます。性的虐待の容疑者の中には、父親が自身の娘に幼いころから数年にわたり虐待を加えていたケースもありました。

ウィルス性熱病の感染報告が増加

 北東部のセアラー州で、ネッタイシマカがウィルスを媒介するチクングニア熱デング熱、ジカ熱の症例報告が増加しています。特にチクングニア熱の増加が顕著で、セアラー州政府のデータによれば、年初から確認された感染件数は5万8957件に上っています。国内メディアが伝えました。

 年初からのチクングニア熱感染に関する報告件数は10万3000件で、現在までにその57%で感染が確認されています。同州内市町村の8割で感染確認が記録され、死亡者も51人が報告されています。人口10万人あたりの感染報告は1099人で、性別では女性、年齢層では20~59歳が多くなっています。

 デング熱の感染報告件数は6万5000件で、感染が確認されたのは24.6%です。症状が深刻なケースも13件あり、これまでの死亡者は8人です。

 ジカ熱は年初から432件の感染が確認されています。ジカウィルスに妊娠中の女性が感染すると小頭症の新生児が生まれる可能性が指摘され、妊婦の感染には特に注意が必要とされています。妊婦の感染が確認されたのは44件に上っています。
 
 ブラジル北東部へ旅行予定のある人は、蚊に刺されないような対策が必要です。

有罪判決のルーラ元大統領の資産封鎖

 国内メディアによると、ブラジル銀行が出資する民間年金保険会社は20日、クリチバ第13連邦裁判所にルーラ元大統領に関連した2つの年金プランの資金を封鎖したと通知しました。その前の18日にはブラジル中央銀行がルーラ氏名義の複数の銀行口座の資金計60万6700レアルを封鎖しています。今回の措置は、ルーラ氏がペトロブラス汚職の裁判で有罪判決を受けたのをうけ、連邦検察庁が要請していたものです。このほか同氏の不動産および土地、自動車の差し押さえも決定しています。

 連邦裁判所は12日、ルーラ大統領に収賄および資金洗浄で禁固9年6月の実刑判決を言い渡し、69万9700レアルの罰金を言い渡していました。凍結された年金プランは、ルーラ氏の講演・イベントへの参加を管理するLILS社と、ルーラ氏個人のもの。封鎖額はそれぞれ約719万レアル、約184万レアルとなっています。

 20日午後には、左派系社会運動グループや労働組合組織の呼びかけにより、サンパウロをはじめ国内各地でルーラ氏支持の集会が行われました。

路上生活の男性、寒波で死亡

 ここ4年間で一番の寒さを記録した18日、サンパウロ市内西部ピニェイロス地区で、路上生活者の男性が遺体で発見されました。法医学院で検死されましたが、19日時点で死因は特定されていません。地元メディアによると、現場で調べた軍警察は遺体には暴行を受けた痕跡がなく、寒さで死亡した可能性が高いとしています。通報者の話では、遺体は午前6時頃から発見場所を動いていないということです。

 国立気象観測所は18日、サンパウロ市内北部の観測地点で午後の気温としては2013年以降で最も低い10.2℃を観測した,と発表しました。同市緊急管理センターによると、この日の平均気温は9.3℃と13年7月24日(8.6℃)以来の低さで、冷たい風の影響で体感温度は0℃にも感じられました。

 サンパウロ市役所と経済調査院の調査(15年実施)では、同市内で路上暮らしている人は約1万6000人でしたが、現在は2万5000人に増加しているとしています。ジョアン・ドリア市長(PSDB)は19日、短文投稿サイトに、「市役所は冬季緊急プログラムによって路上に暮らす人々の命を守り、苦しみを軽減する義務を負っている」と投稿、関心を示しています。

南部2州の各地で氷点下

 猛暑の続く日本とは反対にブラジル南部は、猛烈な寒波に襲われています。地元での報道によると、アルゼンチンから北上した寒気の影響によるもので、今週に入ってブラジル南部を中心に気温がグングン下がり、多くの市民が震え上がっています。18日は、リオ・グランデ・ド・スル州の15市、サンタ・カタリーナ州内の50市で氷点下まで下がり、サンタ・カタリーナ州山間部のボン・ジャルジン・ダ・セーラ市ではマイナス7.4度、ウルペマ市ではマイナス6.8度を記録しました。

 国立気象観測所は17日、リオ・グランデ・ド・スル、サンタ・カタリーナの南部2州の山間部7市で降雪(ざらめ雪)を観測した,と発表しました。18日には南部各都市で氷点下を記録し、南東部、中西部でも18日から19日にかけ気温が低下するとしています。

 この寒気は中西部の一部にも影響を与えています。サンパウロ市でも18日から気温が下がり12度、市南部のパレリェイロスでは9度を記録しました。冬場でもそう寒くはならないリオデジャネイロ市でも、最低気温が14度まで下がっています。

 ブラジルは南国というイメージが強く、寒さとは縁がなさそうですが、最近の冬場は結構寒くなっています。気温12度くらいですと、暖かさになれているブラジル人には大変な寒さに感じるそうです。

カンピーナス都市圏からの海外移住者増加

 地元紙の報道によると、移民の受け入れ国として知られるブラジルから、海外への脱出組が増加しています。サンパウロから100キロほど離れ、日系人もたくさん生活するカンピーナス都市圏からも海外移住組が増え、2012年の203件から16年には553件へと2.7倍に増加しています。過去5年間の合計は1729件に上りました。カンピーナス都市圏でも人ロの多いカンピーナス市からの脱出が多く、12年の112件から16年には270件と2.4倍にも増加しています。

 新聞で紹介されているドイツへ移住した皮膚科医の女性は、「人生で新たな経験がしたかった。学術的な知識や新たな言語を学ぶ機会だけでなく、世界の新たな面を探りたかった。国の政治と経済も大きく影響した。高い犯罪率、汚職に落胆させられ、ブラジルに滞在する意思を失わせた」と、ブラジルの政治状況と治安問題が移住決定に大きく影響したと話しています。女性は移住後の生活について、「家族や職場の友人が懐かしくなったり様々な困難があったり、他の国に住む利点と難点はある。生活するのに完璧な場所とは言えないが、ブラジルより安心して生活できる場所だ」と話しました。

二重国籍者が多く移住が容易
 国税庁の調査によれば、これまでブラジル人が移り住んだ主な国は米国、カナダ、英国となっています。州立カンピーナス大学人口研究センターのロベルタ・ペレス教授は、「米国は依然として世界的に主要な移住先国となっているが、現在移住しているブラジル人の目的地は様々で、オーストラリア、ニュージーランドもめだつ」と話しています。

 同教授は続けて、「19世紀から20世紀にかけてブラジルは、これらの国々からの移住先となっていた。このため多くのブラジル人が二重国籍を持っており、これらの国々への移住が容易なことも理由になっている」と説明しています。国の政治的な状況との関係については、「安定している時期にも移住者はいた。それは要因の一つに過ぎない」としています。

小売り施設1万軒が閉鎖

 国内メディアによると、2017年第1四半期(1~3月)にブラジル全国で合計9965の小売り施設が閉鎖されました。全国商業連合の推計です。

 同連合のエコノミストによれば、「約1万の施設閉鎖は2015年第1四半期以降で最も少なく、16年第1四半期と比べ75%減と大幅な減少。これは商業活動の悪化が止まりつつある証」と指摘しています。

サンパウロ圏の失業者212万人

 サンパウロ州データ分析機構によると、サンパウロ市とその周辺の38市で構成されるサンパウロ都市圏の失業率が前月比で0.2ポイント高の19.8%、212万人でした。前年同月比では2.2ポイント高でした。国内メディアが報じています。

 サンパウロ都市圏の生産年齢人口の13%が住み、自動車産業をはじめとする工業が集積するABCパウリスタ地区の失業率は4月の18.4%、16年5月の17.0%といずれをも下回る16.4%になっています。この低下は雇用が創出されたからではなく、同地区から多くの労働が去ったためです。

 同圏内の失業者は今年4月から5月にかけて3万1000人増加し、211万9000人に達したと見られています。この数は16年5月時点に比べ14万2000人多くなっています。

偽造品2.5億円相当をサントス港で押収

 国内メディアによると、サンパウロ州サントス港で税関による一斉摘発が実施され、腕時計やサングラスなど合計約3トンにも上る大量の偽造品を押収しました。国税庁によると、金額にして734万3916レアル(約2億5700万円)相当と推計しています。押収された貨物は中国から出荷されたもので、偽造品や模造品、海賊版を扱うブラジル国内の違法市場に向かうところでした。

 押収された偽造品は、腕時計やサングラス、眼鏡フレームの世界的ブランドのコピー商品で、これらの違法製品は香港から送り出されたコンテナの中に詰め込まれていました。これは引越荷物や旅先で購入した土産物などを郵便や航空便、船便などで送る「別送品」扱いで送られていたものです。押収した違法製品はすべて破壊処分されます。