中南米の最新情報

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大統領起訴の手続き継続の意見書

 国内メディアの報道によると、テメル大統領(PMDB=ブラジル民主運動党)の収賄容疑起訴の手続き継続の可否を審議する下院憲政委員会で、10日、報告官のズベイテル議員(PMDB)が手続き継続の意見を表明しました。同議員は「連邦検察庁から提出された起訴理由は、現時点では受理するのに不足はない」としています。テメル大統領は収賄容疑を全面的に否定しています。

 憲政委での審議は本会議での採決に先立って行われているもので、今後は弁護側の意見表明、計134人の正・補欠委員、その他の下議らによる意見表明などを経て採決が行われます。議会が予定通り18日から31日まで休会期間となる場合、委員会審議の期間によっては、本会議での採決は8月になる可能性もあります。

新車需要が拡大中=自販連=

 各メディアによると、3年連続前年を下回っていた上半期(1~6月)の新車販売台数が4年ぶりにプラスになりました。全国自動車販売業者連盟(自販連)が4日公表したもので、2017年1~6月累計の新車販売台数(登録ベース)は乗用車、軽商用車、トラック、バスの合計が101万9400台に達し、16年(98万3495台)の同時期比で3.65%拡大しました。上半期の販売台数が前年に対して拡大したのは13年以来です。  

 自販連関係者は「営業日数は少なかったが、それを1営業日当たりの販売台数の伸びが帳消しにした。政治的な動揺も懸念されたが、上半期を4.25%増(乗用車と軽商用車の昨年上半期比)で終えた結果から見ると、それほど影響はなかったようだ」と述べました。

日本車で売れたのはカローラ
 6月に最も売れた車は、乗用車部門ではゼネラル・モーターズのオニキス(GM ONIX)、軽商用車部門ではフィアットのトロ(FIAT TORO)でした。それぞれの販売台数は、オニキスは1万4923台、トロは5579台でした。日本メーカーではトヨタ自動車カローラとハイラックスがそれぞれの部門で最多でした。カローラの販売数は5734台、ハイラックスは2832台になっています。

 乗用車と軽商用車を合算した6月のメーカー別シェアを見ると、上位5社はGM(17.76%)、フィアット(14.79%)、フォルクスワーゲン(VW、12.11%)、現代自動車(HYUNDAI、9.48%)、フォード(FORD、9.43%)で、5月4位だったフォードが5位に下がり、5位だった現代自が4位になりました。トヨタは8.49%で6位、ホンダは6.09%で8位、日産自動車は3.00%で10位でした。

汚職専従チーム解散で、検察庁が批判

 連邦警察は6日の声明で、パラナ州クリチバ市の連邦警察でペトロブラス汚職捜査を専門に担当していたグループの捜査責任者を汚職公的資金横領撲滅警察に配置換えすると発表しました。各メディアが報じています。この措置で同グループの捜査官は今後、ペトロブラス汚職捜査以外の捜査も担当することになります。

 連邦検察庁ペトロブラス汚職捜査チームの検事は「今回の連邦警察の措置は明白な後退で、今後の捜査に支障を来す」と批判しています。今回の措置はペトロブラス汚職捜査だけでなく、食品の衛生検査をめぐる企業と農牧省検査官の汚職捜査チームにも適用されます。

 連邦警察は配置換えについて、「国庫に損害を与える可能性がより高い事案の捜査を優先するためで、同措置により汚職および資金洗浄の専門捜査員を増やせ、情報交換も容易になる」と反論しています。

4人に1人がクレジット利用を拒否される

 クレジット保護サービスと全国商店経営者連合がまとめた消費者のクレジット利用調査で、2017年5月は消費者の25%(4人に1人)が、分割払いで物品を購入、あるいは資金を借り入れようとして拒否されたことが判りました。理由は債務不履行者として登録されている(10%)、所得証明の欠如(4%)などが挙げられています。国内メディアが報じています。

 クレジット保護サービスの関係者は「高い水準にあるデフォルト(債務不履行)、失業率の上昇、先の見えない不況などを背景に、銀行やその他の金融機関は信用供与を制限し、そのため消費者には契約が厳しくなっている。同時に現在の高金利が消費者の資金需要を抑制している」とクレジット拒否の多さを説明しています。

 消費者動向調査では、全体の57%が7月の消費を減らすと答えています。理由は、37%が「収入の減少、失業、借金」、25%が「すでに節約しているから」を挙げ、「物価が上がっているから」(24%)、「貯蓄をしたい」(8%)という答えもありました。

3人に1人が路上犯罪や警察暴力に恐怖

 調査会社ダタフォーリャが行なった調査で、日没後に住居地域で起きる犯罪や軍警察官の暴力に恐怖心があるという回答者が35%もいることが分かりました。フォーリャ紙の報道です。調査は、6月21~23日に国内194市の2771人(16歳以上)を対象に行われました。軍警暴力の対象になるのを恐れているのは49%、日没後に近所の通りを歩くのが怖い人は60%に上っています。

 調査結果に専門家は、「暴力に対し弱いという意識や助けを求める人がいないという考えが孤立感を産み、社会との一体感を喪失、適法すれすれの個人的な安全対策に頼ろうとする。これでは問題の解決にはならない」と指摘しています。ブラジリア大学のアルトゥール・トリンダーデ教授は、「今のブラジル人は、恐怖の人質になっている。市民の多くは守られていないと感じている」と述べています。

 トリンダーデ教授はまた、「恐怖心と不安感は低所得層でより高くなっており、55%が軍警察に、62%が通りを歩く事に恐れを感じている。その理由は、低所得層地域は安全対策が脆弱で整備が遅れている」と指摘しています。同教授は続けて、「黒色や褐色系の市民は収入が少なく、居住地区も限られ、恐怖心や不安感を抱く人が多い。黒色系の57%が恐怖を感じるとしている」と述べています。

 調査を年齢や性別で見ると、不安感を抱く割合は高齢者や女性でより高くなっています。男性の52%が日没以降に通りを歩きたくないとしていますが、性的暴行をうける可能性もある女性は68%が外に出たくない、また高齢者の67%が怖いと回答しています。

男女別料金は女性の不当利用で違法

 各メディアによると、法務公共保安省の下部組織である国家消費者局が、バーやレストラン、ナイトクラブ、バラーダ(ディスコ)がイベントやパーティーで設定する男女別料金は違法として、3日ら1カ月以内に撤廃するよう通達しました。

 通達では、1カ月の猶予期間終了後も依然として男女別料金を設定していれば、消費者はより低い料金(大抵の場合は女性料金)の適用を店側に要求でき、店側がその要求を拒否すれば消費者は消費者保護機関に通報できる、としています。国家消費者局は「男女別料金の設定は、マーケティング戦略として女性を利用することであり、これは人間の尊厳の原則、平等の原則に反する」としています。

 ブラジル消費者保護協会のコンシデラ元会長も男女別料金の撤廃に賛意を示し、「消費者保護法の下で同法が例外と認める高齢者や生徒・学生、教師らを除くすべての顧客には平等な待遇が提供されなければならない」と話しています。

下院での大統領起訴可否判断審理始まる

 国内メディアによると、連邦検察庁が連邦最高裁判所へ提出したテメル大統領の収賄容疑に関する起訴の可否を判断する下院審理が29日から始まりました。最高裁が同案件の訴訟を開始するかどうかを判断するには下院本会議で議員数(定数513)の3分の2以上の賛成が必要ですが、下院は連立与党が多数を占めているため、起訴が承認されない可能性が高いとみられています。

 地元フォーリャ紙の調査では、審理開始時点で起訴反対を明確にしている議員は全下議(513人)の内45人にとどまっています。また捜査の継続を支持すると答えた議員は130人。112人がどのように投票するか決めていないと答え、57人は立場を表明していません。その他168議員は同紙の電話または電子メールによる取材に回答しませんでした。数字の上では下議171人以上が起訴反対に回れば、最高裁での審理は保留になります。

 本会議での可否判断投票は記名式です。投票意向を決めるのに所属政党の決定を待つとした議員や、下院大統領弁護側の意見、最高裁報告官の意見を聞いた上で判断すると答えた議員も少なくありませんでした。本会議での採決は、通常どおりに進めば26日ごろになるとみられています。大統領弁護側の意見表明が早まれば、採決はさらに早まるようです。

スマホ販売25%の伸び

 地元メディアによると、国内におけるスマートフォンスマホ)の販売が大きく伸びています。情報技術専門調査会社IDCの調査によるもので、2017年第1四半期(1~3月)の国内スマホ販売数は16年同時期を25.4%上回る1240万台に上りました。

 IDCは、「16年の年初3カ月間の販売数はドル高の影響で輸入品、海外部品使用の国内産の価格が高騰し大きな落ち込みを見せた。今年1~3月になって、レアルに対するドルの安定と新製品の登場、FGTS(勤続期間保障基金)休眠口座からの資金の引き出しなどがプラス材料になり、買い替え需要で販売数が膨らんだ」としています。

 消息通の話では、新スマホへの買い替えは2年前まで、平均1年から1年半でした。今では2年に伸び、しかも工夫を凝らした魅力のあるスマホを選ぶ傾向にあります。IDCは「現在、国内で使用されているスマホの4割近くが寿命を迎えつつあり、買い替えの時期が来ている。17年の年間販売台数は昨年比8%増になるだろう」と見ています。

性的暴行が3割以上増加=サンパウロ州=

 地元での報道によると、5月にサンパウロ州で起きた性的暴行の件数が昨年同月比で30%以上の増加となっています。州内の性的暴行事件は943件で、昨年同月より260件(38・07%)も増加しました。サンパウロ市だけでも、昨年同月の184件から225件へ22・28%増えています。

 同州公共保安局は性的暴行事件の増加について、「通報件数が増えたことによる」との見方をしています。「公共交通機関での嫌がらせや痴漢行為は頻繁に起きているが、これまで通報されないことが多く記録されなかった。性的暴行事件は通報が重要だ。通報でより効果的に抑止できる犯罪だ」と指摘しています。

7日から3日間、日本祭り開催 17万人来場を予想

 7月7日~9日の3日間、サンパウロサンパウロ・エキスポ・センターでブラジル日本都道府県人会連合会(山田康夫会長)主催の「第20回フェスティバル・ド・ジャポン(日本祭り)」が開催されます。「20年の歩み」をテーマに開かれ、3日間で17万人の来場を見込んでいます。会場は4万平メートルの広さ、4500台収容の駐車場も完備されています。

 「フェスティバル・ド・ジャポン」の第1回開催は1998年7月、今年で20年目になります。第1回はブラジル日本移民90周年記念行事としてサンパウロ市イビラプエラ公園で2日間にわたって開かれました。日系企業や金融機関、日系団体、文化団体と27県人会が協力、当時のサンパウロ市内では食べられないような各県の郷土食を提供すると共に民謡、太鼓、各県の踊りなどの芸能文化も披露していました。当時を知る人は、「1世の参加者が多く、当時多かった日本への研修制度から帰ってきた人たちも手伝って盛り上がった。正確な統計はないが、それでも来場者は1万人程度で、家庭的なイベントだった」と振り返ります。

 2005年の第9回からサンパウロ州農務局展示場(現在のサンパウロ・エキスポ・センター)に会場を移し、来場者も3日間で10万人台に膨れあがりました。第9回では40県人会が郷土食を販売し、43団体が芸能を披露しました。この時からサンパウロ市長や州行政関係者も訪れるようになり、ブラジルでも有数の日本文化イベントに育っていきました。今では46県人会が参加し、17万人の来場を見込むほどの日本文化イベントです。今年のテーマが「20年の歩み」となっているのは、これまでの道程を振り返るという意味が込められています。このため20年の軌跡を振り返る写真展と、50周年を迎えた県連(日本祭り主催団体)の写真展が予定されています。

 今年は新たな試みとして、マルチ・メディア・スペースに大スクリーンを三つ用意、スポンサーの情報やステージ上のパフォーマンスの映像を流します。山田会長は、「第1回(日本祭り)の初心に帰って、新たなモチベーションを持ち、来てよかったと言ってもらえる祭りにしたい」と意気込みを語っています。

<写真>昨年の日本祭り会場=サンパウロ新聞提供=f:id:ncb:20160710173228j:plain