中南米の最新情報

NPOチャレンジブラジルが、ブラジルを中心に中南米のニュースをお届けします。

高齢のカード利用者狙う詐欺

 地元メディアによると、ペルナンブコ州文民警察は、クレジットカード利用者をねらった新手の詐欺とみられる犯罪グループを追っています。被害に遭っているのは主に高齢者です。

 犯罪グループの手口は以下のような手順です。

 まず犯罪グループは被害者のデータを入手するため被害者に電話をかけ、高額な商品が購入されていると偽の情報を伝えます。その後、カード会社の職員を装って被害者の自宅に赴きカードを渡すよう求め、当局に報告するため調書に個人情報を書き込むように強要します。警察の調べでは、州都レシフェ市では10日間で12人が警察に通報してきました。

 レシフェ市南部の警察関係者は、「犯人たちは被害者自宅の固定電話に電話をし、別の州で買い物が行われたと伝える。被害者に商品購入の有無の確認を求め、購入を否定すると、カードをキャンセルするように勧める。そのとき犯罪グループは電話をそのままの状態でカード会社へ連絡するよう伝え、カード会社からの確認通知を受けられないように携帯電話をブロックしている。40分過ぎた頃自宅にカードを受け取りにきた男に渡すと、まもなくカードが不正使用され始める」と説明しています。自宅内や店舗内のセキュリティーカメラの映像から、1人の容疑者が特定され、グループのメンバーとみられる2人の女性も捜査線上に浮かんでいます。

 警察では、「別の電話機でカード会社のオペレーターに電話し、確認すること。文民警察もカード会社も、誰の家にもカードを取りに行く事はしない」と話しています。

娘虐待容疑で母親逮捕

 地元での報道によれば、自分の娘(17歳)を1カ月以上家の中に鎖で繋いで閉じ込めていた母親(43)が13日、サンパウロ州ソロカバ市内で虐待の容疑で同市警備隊に逮捕されました。逮捕された母親は、娘は薬物中毒のため、中毒を治すための荒療治だったと供述しています。

 同市警備隊は匿名の通報で児童相談所の代表者と問題の家を訪れ、鎖で洋服ダンスに繋がれた少女を見つけました。少女の母親は警備隊に、「娘は12歳の時からコカインやクラック(たばこで吸える形状のコカイン)を使用しており、使用を止めさせるため鎖で繋いだ。中毒を治療する方法はこれしか知らなかった」と話しています。

 調べによると、母親は43日間も娘を鎖で繋ぎ、「少女は栄養不良の兆候を見せていたが、それは母親が娘に食事を与えていなかったと言うことではなさそうだ。調べる必要はあるが、薬物依存者は通常、拒食症になるケースが多いからだ」と警備隊は見ています。

高まる風力発電への期待

 タイバ風力発電所(北東部セラー州フォルタレーザ市)管理会社の技術担当者は、「新たな需要向け、特に北東部など深刻な干ばつに苦しむ地方での発電には再生可能エネルギーである風力発電が適している」と話しています。強い風が継続的に吹く地域の多いブラジルは、エネルギーの面から見れば、風力発電に適している国のようです。

 国内メディアも、「強い風が吹く地域が多く、風力発電に適した国だ。実際、国内の風力発電能力と実質的な発電量との比率は40.7%で、世界平均の23.8%を大きく上回っている。現在は水力発電が大半を占めているが、風力発電太陽光発電がますます増えていくだろう」と報じています

 ブラジル風力エネルギー協会のデータによると、16年度の風力発電は国内の電力の6%に過ぎませんが、海岸地域にある風力発電容量は55%も強化されており、今後有望な電力供給設備になる可能性を指摘しています。タイバ風力発電所の技術担当は、「風力発電は今日、北東部の州都では極めて重要な位置を占め、この地域のエネルギー需要の40%を満たしている。一年の間には、需要の60%以上を供給することもある」と、風力発電の重要さを指摘しています。

カブラル元リオ州知事に禁錮14年

 ペトロブラス汚職案件を審理するクリチバ第13連邦裁判所は13日、ペトロブラス関連の工事契約に絡む汚職裁判でセルジオ・カブラル元リオ・デ・ジャネイロ州知事に収賄および資金洗浄の罪で禁固14年2月の有罪判決を言い渡したと発表しました。カブラル元知事は知事時代の汚職関与容疑を含む8案件で起訴されていますが、ペトロブラス関連の訴訟では最初の有罪判決となりました。国内メディアが伝えています。

 判決文は、知事在任中の組織的な賄賂要求がリオ州の経済危機の起点になったと指摘、選挙で選ばれた知事として無責任と糾弾しています。また、賄賂額の270万レアルを価値修正した約666万レアルの罰金支払いを命じ、控訴しても勾留状態は継続するとしています。

 カブラル元知事は昨年12月、知事在任中の2007年から11年間にペトロブラス関連施設の土木工事を請け負った建設会社から少なくとも270万レアル(08年当時の価値)の賄賂を受け取ったとして連邦検察庁に起訴され、これまで裁判が続いていました。同被告は昨年11月に逮捕以来勾留されたままです。

 今回の裁判では、カブラル被告の知事時代の局長、共同経営者に対しても収賄資金洗浄の罪で有罪判決が言い渡されました。同被告の夫人も同様の罪で起訴されていましたが、証拠不十分で無罪でした。

 今回の判決を不服として被告側は上訴する意向です。

ジルマ・テメル両氏の当選は有効

 2014年の大統領選挙でジルマ前大統領(PT=労働者等)を正大統領、テメル現大統領(PMDB=ブラジル民主運動党)を副大統領候補として候補者連記名簿を示し運動、当選した件で、ブラジル社会民主党が不正があったと当選無効を訴え、選挙高等裁判所は6日から審理していました。9日夜、7人の判事による投票が行われ、過半数となる4人の判事が当選有効との判断を示しました。国内メディアが伝えています。

 6日からの審理では、ジルマ、テメル両氏の弁護側が「建設会社幹部による司法取引証言は14年に起こされた訴えには含まれていなかったもので、証拠として考慮されるべきではない」と主張しました。これに対し選挙高裁の報告官は、「ブラジル社会民主党が訴えを起こした時点でペトロブラス汚職に関連した資金の可能性が指摘されていた」と反論、証拠採用するよう求めました。判事7人のうち4人は、建設会社幹部の証言を証拠採用することに反対の姿勢を見せ、弁護側の主張に傾いていました。

 投票では、予想されたとおり4人の判事が「当選を無効とする十分な証拠はない」と当選有効と判断し、2判事が当選無効と判断しました。当選を有効とした判事は、建設会社の司法取引証言は14年時点にはなく、審理の材料には含められないとの認識を示し、汚職の資金が選挙運動に供給されたと結論付けるには十分な根拠がないと、これまでの考えを踏襲しました。「大統領の任期の剥奪は、明白な状況がなければ行うべきではない」という原則論を重視したと言えます。

新車販売17%の伸び

 全国自動車販売業者連盟(自販連)の発表によると、2017年5月のブラジル国内の新車販売台数(登録ベース)は乗用車、軽商用車、トラック、バスを合わせて19万5568台で、前月を24.63%、16年5月を16.77%、それぞれ上回りました。今年1~5月の累計販売台数は16年同時期に対して1.57%増となり、年初来の累計としては14年2月以来39カ月ぶりの前年同期比プラスです。各メディアが報じています。

 今年5月の販売の伸びは乗用車と軽商用車が牽引しました。乗用車と軽商用車を合わせた販売数は昨年5月に対して17.26%増と、対前年同月比としては14年2月以来となる二桁の伸びです。自販連のアラリコ・アスンソン・ジュニオル会長は「1営業日当たり販売数の伸びを維持できれば(前年に対して)2.04%のプラス成長を達成できる」と語ります。

 アスンソン会長は「昨今の不確実な政治環境の中でも景気は回復傾向にある」と前向きに捉え、今年第1四半期の国内総生産GDP)が9四半期ぶりにプラス成長となったこともあり、「我々の業界も上向きつつある」と明るさを見せました。

最多は1万5000台のオニキス
 今年5月に最も多く売れた車種は、乗用車ではゼネラル・モーターズのオニキス(GM ONIX)、軽商用車はフィアットストラーダ(FIAT STRADA)でした。日本のメーカーの車ではトヨタ自動車カローラとハイラックスがそれぞれの部門で最多で、カローラの販売数は前月比11.8%増、前年同月比2.3%増の5553台、ハイラックスは25.3%増、7.7%増の3151台でした。

 乗用車と軽商用車を合算した今年5月のメーカー別シェア上位はGM(17.69%)、フィアット(13.64%)、フォルクスワーゲン(VW、12.83%)、フォード(FORD、9.85%)、現代自動車(HYUNDAI、9.20%)となっています。上位5社の中では現代自が唯一、前月からシェアを落としました。日本勢はトヨタが8.72%で6位、ホンダが6.60%で8位、日産自動車が2.68%で10位でした。

テメル大統領に新たな疑惑

 国内メディアが、テメル大統領が副大統領在任中の2011年に家族をサンパウロからバイーア州まで食肉加工大手JBS社オーナーのジョエズレイ・バチスタ氏が所有する小型ジェット機を利用し連れて行った、との疑惑を報じています。JBS社と親会社J&Fはペトロブラス汚職で捜査対象となっている企業で、同社幹部は司法取引でテメル大統領への違法な献金を証言しています。ジェット機利用の件は、テメル氏と同社の癒着ぶりを示すと注目されています。

 各メディアの報道では、バチスタ氏は「テメル氏が副大統領就任間もない11年1月、テメル氏と夫人がバチスタ氏の小型機で旅行をした」と証言し、飛行日の搭乗記録も提出しています。

 大統領府は、テメル大統領が民間所有の航空機で11年1月12日に家族を連れてサンパウロ市からバイーア州コマンダトゥーバへ移動し、テメル氏はそのまま副大統領職務をこなすためブラジリアへ向かったことを確認した、と発表しています。テメル氏はその飛行機が誰の所有か知らず、使用料金の支払いは行っていないとも発表しました。

 民間ジェット機利用の報道に大統領府は最初、「テメル氏がコマンダトゥーバへ行ったのは同年4月で、空軍機で移動した」と説明していました。その後、民間機を使用したと訂正しました。フォーリャ紙は、「バチスタ氏がテメル氏一家を迎えるため機内に花を用意したことに対し、テメル氏から感謝を伝える電話を受けた」と、裏付けとも言える内容を報じています。

建設会社証言の証拠採用で対立=大統領当選無効審理=

 2014年の大統領選挙で正副大統領として当選したジルマ、テメル両氏の当選無効を訴えた審理が6日から選挙高等裁判所で始まりました。審理で弁護側は建設会社証言の証拠採用に異議を申し立て、報告官は異議を退け証拠採用するよう主張しました。国内メディアが報じています。

 今回の訴えはブラジル民主社会党が起こしたもので、「14年の大統領選はジルマ、テメル両氏の選挙運動が違法に行われ当選は無効」と主張しています。違法性について同党は「未申告の選挙資金口座にペトロブラス汚職に絡んだ企業から不正な資金を受領している可能性がある」と指摘しています。弁護側はいずれも不正への関与を否定しました。これに対し選挙高裁の報告官は、「ペトロブラス汚職の捜査で検察との司法取引で建設会社オデブレヒト社幹部が、ジルマ、テメル両氏に違法な献金を行ったと証言している」と述べ、訴えの正当性を主張しました。

 6日夜に行われた初日の選挙高裁審理では、弁護側が建設会社幹部の証言の内容について、「14年にブラジル民主社会党が起こした訴えの中には含まれていなかった」として、証言の証拠採用に異議を表明しました。翌7日の審理で選挙高裁報告官は、「同党が訴えた時点でペトロブラス汚職に関連した資金が含まれている可能性が指摘されており、建設会社幹部の司法取引証言は最高裁報告官を務める判事も承認している」と述べ、同証言を証拠として採用するよう主張しました。

 同審理の判事投票は、7人の判事で8日に行われる予定です。選挙高裁は、8日は終日審理を行うことを決め、必要があれば9日に新たな審理を行うとしています。

麻薬取引に積極的な女性増加

 国内メディアによると、サンパウロ州刑務所管理局の調査で、州内の刑務所など刑事収容施設にされている女性が10年で90%も増加しているのが判りました。2007年には6531人だった女性収容者が17年には1万2438人に増加しています。サンパウロ市郊外のカンピーナス市の施設に収容されている女性たちが犯したので最も多いのは麻薬取引で、昨年1年間に8434人が勾留されました。窃盗などの盗みで捕まったのはは約2300人でした。

 カンピーナス市の文民警察薬物警察署署長は「多くの女性が夫やパートナーに代わって組織内で重要な立場に就くようになっている」と、麻薬取引における女性の役割が変化していると指摘します。「現在、多くの女性が取引を指揮する立場に立っている。女性が指導的な役割を果たすようになっており、ビジネスパートナーと言ってもいいほどだ」と付け加えました。

 組織犯罪の罪で勾留された女性は、15年の62人から昨年は87人に、誘拐罪で勾留された女性は145人から160人へ増加し、殺人罪で勾留された女性も649人から673人に増加しています。

 政府は、女性被収容者の急増に対応するため、過去6年間に2億6500万レアルを投じ、女性専用施設5カ所を新設しています。同州刑務所管理局によれば、女性用の古い刑事施設は男性用の施設を改造したものでしたが、新設は前例のない措置としています。今年3月に建設された最も新しい施設は、授乳専用のエリアや多目的利用のステージ、収容者を再教育する部屋も整っています。

ジルマ、テメル両氏当選無効の審理開始

 ブラジル国内での報道によれば、選挙高等裁判所で6日から、2014年の大統領選挙で当選したジルマ前大統領とテメル副大統領(当時)の当選無効の審理が始められました。ブラジル民主社会党の訴えによるものです。審理で当選無効の判断が示されても、テメル大統領は上訴が可能です。テメル大統領は現在、食肉大手JBS社幹部の司法取引証言に基づき汚職司法妨害などの疑いで連邦最高裁判所の捜査対象となっており、これが選挙高裁の審理に影響を及ぼす可能性も指摘されています。

 今回の訴えは、14年の大統領選で敗れたネベス上議(ブラジル民主社会党党首)の所属党が起こしました。訴えではジルマ氏を正大統領、テメル氏を副大統領とした選挙人名簿(通常シャッパと呼ばれる)を掲げた選挙運動で、未申告の選挙資金口座にペトロブラス汚職で恩恵を受けた企業から不正な寄付を受けており、当選は無効としています。ジルマ、テメル両氏とも訴えの内容を否定しています。

 6日からの審理は3日間行われ、初日は報告官を務める判事の意見書読み上げ、訴えた側と弁護側、検察による意見陳述が行われます。最終的には判事7人の投票で判断されます。投票の際、判事7人のうち一人でも再検討の時間を求めた場合、審理は中断、延期されます。