中南米の最新情報

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アルゼンチン議会にミレイ大統領敗北

 アルゼンチン上院がミレイ大統領の暫定措置の必要緊急政令を拒否しました。ブラジルのメディアによると、14日、上院で7時間以上も討論が続いた後に採決され、反対42票、賛成25票で拒否されました。必要緊急政令は通常「政令」と称され、現職大統領が提案した「法令」が拒否されるのは初めてのことです。

 「法令」は下院にも提出されており、下院で否決されるまでは必要緊急政令は暫定的な措置として機能したままです。政府当局は「上院での否決は大統領の呼びかけを攻撃するものだ」と主張しています。

 ミレイ政権が提出した必要緊急政令は、規制緩和を行うことで、アルゼンチン経済の数十分野の変化を狙った法令です。労働改革、物価監視機関の廃止、家賃に関する新たな規則、外国製品の市場開放、民営化などが盛り込まれています。大統領は上院での拒否を受け、「国の利益と変革の道に尽力し、意図的に国の発展を妨げ用としている人たちに与しない議員に感謝する」としています。

アルゼンチン上院がミレイ政権政策を否定か

 アルゼンチン上院は14日、ミレイ政権が経済規制緩和を可能にする必要緊急政令の審議を開始ました。上院で同緊急政令は審議され、採決に持ち込まれると承認の可能性がないため、ミレイ大統領は審議、採決の延期を画策していました。ミレイ政権の副大統領であり上院議長でもあるビジャルエル氏はアルゼンチン大統領の嘆願を無視して採決を議題に組み込み、大統領との関係がギクシャクしてきました。

 緊急政令はミレイ政権の政策の核とも言えるもので、これが承認されないとミレイ政権の政策が否定されることになります。このためミレイ大統領は上院議員に承認を働きかけていました。あまり効果を発しなかったようです。

市長選の集票力はボルソナロ氏よりルーラ氏に軍配

 ブラジルのメディアによると、サンパウロ市長選でルーラ大統領推薦候補には有権者の42%が投票し、ボルソナロ前大統領が指名した候補者には63%が投票しないと回答しました。12日に発表されたデータフォーリャの調査によるものです。

 調査によると、ボルソナロ氏が指名した候補者に間違いなく投票するとしたのは有権者の17%で、19%はおそらくボルソナロ氏が選んだ候補者に投票すると回答しています。

 一方、ルーラ大統領推薦候補の場合、有権者の24%が労働者党(PT)メンバーが提案した名前に間違いなく投票し、31%がおそらく投票するだろうと回答しました。現大統領はボルソナロ氏よりも有能な広報マンのようです。

 参考までに記すと、ボルソナロ前大統領が支持するのは現サンパウロ市長のリカルド・ヌネス氏で、ルーラ大統領はギリェルメ・ブーロス連邦副議員の支持に回っています。10月のサンパウロ市長選における市民の動向は両候補とも互角だけに、これからの展開が気になるところです。

アルゼンチンが基本金利を年100%から80%に引き下げ

 アルゼンチン中央銀行は基本金利を年100%から80%に引き下げます。ブラジルのメディアによると、同中央銀行は11日、同国の基本金利を年100%から80%に引き下げると発表しました。

 金融当局は「小売インフレの軌道は、これまでの経験に比べて為替レートのパススルーが目に見えて減少しており、一方、合意された経済金融政策の覚書の予測よりも低い軌道を示している」と理由を説明しました。

 政府統計機関によると、2月のアルゼンチンのインフレ率は12カ月で世界で最も高い254.2%に達しました。しかし、1 月には20.6%に減速し、12月の25.5%をも下回っています。中央銀行は「実質的に通貨問題は改善されており、バランスシートも改善している」としています。

 また外貨準備も持続的に蓄積されており、2023年12月10日の時点で96億ドルになったとしています。

武装集団の暴力エスカレートでハイチの治安悪化深刻化

 首相の辞任を求める武装集団の暴力行為でハイチ国内の治安は悪化の一途です。9日には首都ポルトープランスで警察と武装集団が衝突するなど情勢は一段と悪化し、米国は10日、大使館職員一部の撤退と警備の強化を発表しました。ハイチ政府はポルトープランスを含む地域に非常事態を宣言し、夜間外出禁止令を発令しています。

 ブラジルのメディアによると、ポルトープランスでは病院が攻撃され、食糧不足が深刻化、インフラの老朽化もあって、人道状況は危機に陥っています。悪化するハイチの治安について米国とケニア両国が会談、武装集団が求めるハイチ首相の辞任要求を受け、「自由で公正な選挙を実施する』ことを目的に、「多国籍安全保障支援ミッションを展開する」ことで一致しました。

 暴力がはびこるポルトープランスでは犯罪者が店を破壊したり、武装集団が大統領官邸、警察署、裁判所、刑務所を襲撃し、市民は行政事務所に避難所する騒ぎになっています。国際移住機関(IOM )は、首都は「包囲された都市」であり、市民は逃げようとしても武装集団に家族や友人と連絡を取ることを妨害され、閉じ込められた状態あると述べています。

 武装集団はポルトープランスへの道を封鎖し、IOM は「ハイチでは36万2,000人(その半数以上が未成年)が自宅から動けなくなっている」と説明、その数は年初から15%増加しているといいます。

 最新の報道によると、武装集団と国民の一部は、プエルトリコに滞在中のハイチ首相の辞任を要求しています。同首相は2月に退任する予定でしたが、新たな選挙が行われるまで野党も政権に協力、首相を続けることで合意しました。国連安全保障理事会は10月、ケニア主導の多国籍警察任務にゴーサインを与えましたが、こちらはケニアの国内事情で行き詰まっています。

 エルサルバドルのブケレ大統領は10日、ハイチの治安危機を「解決」することを申し出ました。同大統領は「我々はこの問題を解決できる。しかし、国連安全保障理事会の決議、開催国の同意、そして費用の全額負担が必要だ」としています。

ルーラ大統領の評価が最低水準

 ブラジルのメディアによると、大統領就任2年目に入ったルーラ大統領に対する評価が、ボルソナロ前大統領同時期と同じにまで低下しました。世論調査のIpec研究所が8日、調査結果を発表したもので、それによると、ルーラ大統領2年目の「優れている」「良い」という第1四半期の評価は33%でした。同時期のボルソナロ前大統領評価は34%でほぼ同じ結果でした。

 同時期のルーラ政権の評価は、1992年のコロール政権(14%)、1993年の第2期フランコ政権(21%)よりも優れ、1996年のカルドーゾ政権(41%%)、2008年の2期目のルーラ政権(58%)より悪くなっています。

 ルーラ大統領の評価は、2003年と2007年の1期目、2期目よりも低くなっています。また、2023年3月の調査と今回の調査を比較しても、肯定的な評価が41%から33%に8ポイント減少し、否定的な評価が24%から32%に増加しました。ルーラ大統領の3期目に対する評価は過去の調査と比べ最低水準にあります。

豪華客船従業員を盗撮で逮捕、起訴

 豪華客船のバスルームにカメラを設置したほか、船室のベッドの下に隠れて映像を記録していた従業員が3日、停泊していたフロリダ州フォートローダーデール市で逮捕され、児童ポルノ製造と所持の疑いで米国連邦裁判所に起訴されました。また従業員は盗撮の容疑でフロリダ州裁判所にも起訴されています。

 ブラジル・メディアの報道によると、逮捕された従業員はフィリピン人のアービン・ジョセフ・ミラソルで、昨年12月から同客船で働いていました。浴室でカメラを発見したのは女性の観光客で、カメラはシンクの下のカウンターに固定されていました。女性は船の責任者に連絡し、警備員がそれを確認しました。

 法廷文書によると、被告のスマートフォンメモリーカードからは、裸の女性を映した複数のビデオや児童への性的虐待の画像が発見されました。男は捜査​​員に「12月に船で働き始めて以来、バスルームに隠しカメラを設置していた」と供述しています。

 容疑者は「船室の居住者が誰であるかを調べてから、ビデオカメラを設置した。カメラを設置した以外に、客室に入り、宿泊客がシャワーを浴びているときにベッドの下に隠れ、そこからビデオを録画した」とも話しています。

 クルーズ会社ロイヤル・カリビアンはすでに男性を解雇し、「捜査に協力している」と発表しました。

ベネズエラは大統領選を7月に実施

 ベネズエラは大統領選挙を7月28日に設定しました。マドゥロ大統領はルーラ大統領)に対し、今年下半期に予定されている選挙では「野党との合意」で、国際監視員と監査が行われることになるだろうと語っていました。

 ブラジルのメディアによると、ベネズエラ全国選挙評議会は5日、政府と野党間の合意で7月28日に決まったと発表しました。同日は第53代大統領であるチャベス大統領の誕生日に当たります。これまでベネズエラの大統領選挙は12月に行われるのが恒例でした。

 昨年10月、ベネズエラ政府と野党は選挙に関して合意に達し、選挙の実施方法に関するガイドラインを定めた「バルバドス協定」に署名しました。協定では、大統領選の投票は2024年後半に行われることになっていました。

 3月1日のルーラ・マドゥロ会談で、ベネズエラ大統領選が取り上げられ、マドゥロ大統領は「2024年後半に行われる」と述べ、「バルバドス協定」の順守を約束していました。今回の発表を受け、ブラジル政府関係者は「一歩前進した」と安堵しています。

 しかし、1月に最高裁判所が主要野党政治家であるマリア・コリーナ・マチャド氏の資格を剥奪し、2月には活動家のロシオ・サン・ミゲル氏が逮捕されるなど、まだ予断を許さないところがあり、ブラジル政府はバルバドス協定の順守を求める文書を発表したりしています。

ブラジル人女性、インドで集団強姦被害

 ブラジルのメディアによると、インド警察は5日、ブラジル人観光客フェルナンダ・サントスさんへの集団強姦に関与した容疑者8人全員を逮捕しました。事件はインド北東部ジャルカンドナ州で起き、サントスさんは夫とともにバイクで国中を旅していて、同地でキャンプをしていた1日に襲われました。

 インド警察はこの事件に関する記者会見を行い、容疑者全員を逮捕したと発表し、国内で大きな衝撃を与えました。容疑者は犯行現場近くの警察に拘束されており、全員裁判にかけられます。ただ、容疑者8人の身元と国籍は不明のままです。

 インドでは、犯罪を犯した者は誰でも死刑に処される可能性があります。2012年に学生が強姦され死亡したことを受け、暴力的で衝撃的なレイプ事件の犯人には死刑が導入されました。

 強姦犯への死刑導入にも関わらずインドでは、依然として強姦事件が多発しています。インド政府によると、2022年には約3万1500人のレイプ被害者が出ています。ただ、ブラジルと比べるとレイプ被害者は少なく、ブラジル公安年鑑による2022年のブラジルでのレイプ被害者は74,930人に上っています。

アイルランドで発見されたアマゾンの魚

 アマゾンの魚がアイルランドの湖で発見され、話題になっています。ブラジルのメディア5日付によると、発見されたのはアマゾン原産で雑食性の淡水魚パクーです。発見場所はアイルランドの田園地帯にある湖で、首都ダブリンから140 kmほど離れています。ベテランの漁師が見つけました。

 アイルランド当局は「アマゾンの魚がどうしてここにいるのか」と調査を始め、アイルランド内陸漁業局も調査を始めています。当局は、「誰か飼育していた人が、湖に棄てたのではないか」と推理しています。

 アイルランドでは外来魚の養殖は特定の法律によって規制されており、内陸漁業局は「この魚の起源やどのようにして湖に到達したかについては、まだ明確な詳細はなく、民間の水槽から放流された可能性がある」と述べています。